再送-山喜がライツ・オファリングで9億円を調達、新ルール後初めて

[東京 20日 ロイター] - 山喜 は20日、既存株主に対する上場型新株予約権の無償割当(ライツ・オファリング)により最大約9億円を調達すると発表した。9月の東京証券取引所によるライツ・オファリングの新ルール策定後、初めての案件となる。
山喜が採用したのは、ノンコミットメント型ライツ・オファリングで、株主が新株予約権を行使しない場合、行使されなかった権利は失効する。
東証の新しいルールでは、ノンコミットメント型に対して、証券会社による増資の合理性の審査か、株主総会決議などによる株主の意思確認を求めている。このため、山喜は12月9日に臨時株主総会を開催し、株主の過半数の承認を得ることを条件とした。
調達資金は、アパレルメーカー、CHOYA(東京都中央区)から卸売部門を買収した資金2億7000万円などに充てるが、権利行使比率が下がれば、調達額は減る。
基準日の12月19日の株主を対象に、普通株式1株に対し1個の新株予約権を割り当てる。新株予約権の行使価額は120円。山喜の20日終値は259円。行使期間は2015年1月30日から2月17日。ファイナンシャル・アドバイザーには、アイ・アールジャパン を起用した。
ライツ・オファリングは、上場企業が既存株主に無償で新株予約権を割り当て、株主による権利行使やその権利を市場で購入した第三者による行使を通じて企業に資金が払い込まれる。通常の公募増資よりも既存株主に受け入れられやすいとされる。
2009年の会社法改正以降、制度が整えられたが、業績や財務状態が悪化した上場企業によるノンコミットメント型ライツ・オファリングが急増。市場で問題視されたため、東証が適切な運用を求めて新しいルールを策定した。

布施太郎

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