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金山(中世)


 戦国期に見える地名。美濃国可児【かに】郡のうち。年未詳(永禄10年か)9月9日の直江大和守宛織田信長書状写に「先月濃州相働,井口近所取出城所々申付候,然者,犬山令落居候,其刻金山落居候」と見える(歴代古案)。当地には天文6年,斎藤道三の養子正義が南部の烏ケ峰に築城,中井戸村を金山村と改称したという。天文8年の可成寺所蔵正義画像明権讃に「船之往還,市中之聚散」とあり,当時木曽川上流の要地に発展していた。永禄8年織田信長は烏ケ峰城を奪取,家臣森可成に与え,可成は金山城と命名,城下町づくりに着手した。天正年間2代目長可は金山湊の塩問屋を村の東部に移転させ,塩・海魚の専門市場を開設,魚屋町と名づけ,町の中心部に諸商人を集めて下モ町(現常盤【ときわ】町),諸職人を集めて古町(現下【した】町)を建設,船着場渡り町(現下町)には船頭・仲仕・船宿を置いたという(兼山町史)。天正12年小牧・長久手の戦いに際し,豊臣秀吉は金山~犬山間の船を出水時の渡河に備えて犬山へ集めるよう森長可に命じており(池田文書),当地にはかなりの船があったものと推定される。しかし金山湊の繁栄も,やがて江戸期には上流黒瀬湊へと移った。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典(旧地名編)」
JLogosID : 7343614