米eBayは米国時間2009年4月14日,同社傘下でVoIP事業を手がけるルクセンブルグのSkypeを独立させる計画を明らかにした。新規株式公開(IPO)を実施し,2010年前半に分社化を完了する予定。IPOの詳細な日程については,市場の状況によって判断するとしている。

 eBayは2005年にSkypeを買収した。現金と株式で約26億ドルを支払うほか,業績目標達成時に最大15億ドルを追加する条件で,取り引き規模は約41億ドルにのぼった(関連記事:米eBayがルクセンブルグSkypeを買収へ,取引総額は最大約41億ドル)。しかしeBayは2007年10月に,Skypeの評価損9億ドルと,5億3000万ドルに変更した追加支払金を計上することを発表(関連記事:ネット電話の代名詞,Skypeの価値が半減した理由)。同時に,Skype設立者で買収後もCEOを留任していたNiklas Zennstrom氏が退任した(関連記事:Skype CEOのZennstrom氏が退任,「他のプロジェクトに注力」)。2008年3月よりJosh Silverman氏がSkypeのCEOを務めている(関連記事:eBay,Skypeの次期CEOにShopping.comのJosh Silverman氏を起用)。

 eBay社長兼CEOのJohn Donahoe氏は,SkypeとeBayおよびPayPalとのシナジー効果が低いとの見解を示し,「Skypeは個別事業として優れており,強力な基盤を持ち,勢いが増している。独立した公開企業として運営することが,潜在性を最大限に引き出す最良の手段だと確信している」と説明した。

 Skype分社化の決定は,Donahoe氏が2008年4月にCEOに就任した際に概略を作成したスケジュールに基づいたものという。当時,同社はSkypeの将来について,eBayの各事業とのシナジー効果を1年間評価したのち方針を決めるとしていた。

 2008年のSkypeの売上高は5億5100万ドルで前年から44%成長した。2008年末時点の登録ユーザー数は4億500万人に達した。eBayは,2011年にはSkypeの売上高が10億ドルを超えると見ている。

 Skypeに関しては,共同設立者が同社を買い戻そうとしているといった噂が広まっていた(米CNET News.com)。

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