2016.01.03
# エンタメ

箱根駅伝のタブー「試走問題」にモノ申す! あの悲劇を繰り返すな

女編集者・花房麗子の「箱根裏物語」最終回

箱根駅伝を愛しすぎて箱根に別荘を買った女編集者・花房麗子。短期集中連載の復路10区に当たる最終回は、箱根のタブーともいえる「試走問題」に斬り込みます。

レース観戦のためのホテルを探すのは至難の業!

おはようございます。往路のレース結果を受けて眠れない夜をすごした方も、ぐっすり安眠できた方もいたと思う。

復路の日、箱根の朝は早い。

中継番組は朝7時から始まるが、山下りの選手たちは午前3時前に起きて、4時には食事をとっている。食事といっても、ほとんど軽い食事で、せいぜいバナナとかウィダーイン・ゼリーのようなサプリ程度しか食べられない選手も少なくない。

余談だが、「箱根駅伝では、観戦のため泊まった宿泊客がレースが終わると『来年も宿泊します』と、その場で予約していってしまうので、いつまでたっても箱根の宿は空かない」とまことしやかに言われている。たしかに宿泊客の多くは来年の宿泊を予約希望するそうだが、宿側は満室になるまでは引き受けず、新規客の分を残しておくのだという。

富士屋ホテルの常連客によれば、1年後の予約をホテルに申し込むと「ウェイティング=宿泊希望はお聞きしました」という状態でしばらく待たされて、後日、「箱根駅伝当日の部屋が確保できました」という連絡が来るのだという。箱根で見てみたいという人がいたら、ぜひ宿泊予約にチャレンジしてみてほしい。

 

各大学が泊まる宿にもこの「ウェイティング」制度は適用されるようだ。宿にとっても箱根駅伝の出場チームを泊めることは決して悪いことではないが、出場したりしなかったりという大学はどうしても予約が難しい。

そこで必然的に出場回数の多い常連校が、芦ノ湖フィニッシュに近い1号線沿線側(元箱根側)の宿を定宿として確保できることになる。駅伝ファンに有名なのが、箱根神社一ノ鳥居のすぐ近くにある1号線沿いの「むさしや」。

ここは例年、東洋大学と早稲田大学の両校が宿泊しており、往路1位と2位が「むさしや」泊まり、ということもあった。往路ゴール(復路スタート)から徒歩10分程度の宿に泊まる彼らは、宿から会場まで歩いてくるし、監督たちも往路が終わり、記者会見や監督会議をすませた後は、ごく普通に歩いて宿に帰って行く。

一方、出場回数の少ない大学は元箱根の宿を予約するのが難しく、芦ノ湖をぐるっと半周した桃源台側のホテル泊まりが多い(桃源台側のほうが、平地にあるせいか大箱のホテルや旅館が点在している。ちなみに芦ノ湖は1周22kmである)。こうした大学の選手たちが、海賊船に乗り込んで宿に帰っていくのを見ているとなんだか応援してあげたくなってしまう。

芦ノ湖は岸壁にきつい波が打ちつける風の強い湖。海賊船は時に運休することもしばしばだが、今年はなんとか無事に運行していた。

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