衝撃事件の核心

「中国の土産物屋で数千円レベル」なんでも鑑定団〝国宝級茶碗〟騒動余波 ネットも過熱「娯楽番組では済まされないぞ」

 茶碗の所有者は徳島県内でラーメン店を経営する男性で、大工をしていた曽祖父が、戦国武将・三好長慶の子孫が暮らす屋敷の移築を請け負った際に買い受けた古美術品の中に交ざっていたという。三好家の家系図などと一緒に埋もれてしまっていたが、気になって番組に鑑定を依頼したようだ。

 中島さんは番組で「漆黒の地肌に青みを帯びた虹のような光彩がわき上がっていて、まるで宇宙の星雲をみるようだ」と絶賛。100万円と自己評価していた所有者の男性が驚くのをよそに、2500万円の鑑定額がついた。

専門家「似ても似つかぬ」

 しかし直後から、この鑑定結果に異を唱える専門家の声が続出した。

 そもそも曜変天目は、窯で焼いたときに偶然に近い形で青や藍の斑紋がついたものを指す。宇宙の星々のように輝き、光の当て方や見る角度によって色が変わる模様が特徴。15世紀前半ごろから「星」や「輝く」を意味する「曜変」の字が当てられるようになった。

 曜変天目の再現に父の代から挑み続け、幾度となく中国に赴いて研究を続けてきた愛知県瀬戸市の陶芸家、九代目長江惣吉さん(54)は「実物を見たわけではない」と前置きしながらも、番組で取り上げられた茶碗は「国宝の曜変天目茶碗とは似ても似つかないものだ」と指摘する。

 長江さんによると、曜変天目の模様は破裂痕のようになるのが主な特徴だが、番組で取り上げられた茶碗の模様は絵の具を塗ったものである可能性が高いという。「素人が見ても違いは明らかだ。中国の土産物屋で数千円で売っているレベルの品物の可能性もある」と一刀両断する。

会員限定記事会員サービス詳細