国際情勢分析

中国、富国強兵へ秘策? 「軍民融合委員会」設立 目指すは米の軍産複合体 軍国主義化の懸念も

 中国共産党指導部は1月、「中央軍民融合発展委員会」なる組織を設立し、そのトップに習近平総書記(国家主席)が就任することを決めた。国有企業が独占している軍需産業を民間にも開放し、軍備の技術革新を進めるのが主な狙いだ。米国の軍産複合体を目指しているとみられるが、政府の権限が強い社会主義市場経済下での「軍民融合」は、軍事力の強化がすべてに優先する「軍国主義」化の危険もはらんでいる。

空母を買い取った香港人が提言

 この組織設立を提言したのは人民解放軍出身で香港の実業家、徐増平氏。徐氏は中国初の空母「遼寧」の前身であるウクライナの「ワリヤーグ」艦をスクラップ同然の状態で買い取ったことで知られ、中国政府の諮問機関、全国人民政治協商会議の委員でもある。

 徐氏は軍民融合の最終的な目標について「米国の国防・産業界の巨人であるロッキード・マーチン社やボーイング社のような、より鋭敏で能率的な兵器製造業の育成だ」と香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙に語っている。さしあたっては国有企業と民間企業のそれぞれの長所を生かした補完的な関係づくりに取り組むという。

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