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 鴻池組とイクシス(川崎市)は共同で、RC(鉄筋コンクリート)造橋脚の耐震補強における表面処理作業の自動化ロボットを開発した。橋脚を把持しながら自動で橋脚壁面を走行しながらバキュームブラスト工法により研掃する。足場が不要で作業員による高所作業がないため安全性の向上や、省人化、効率化などが見込める。2024年12月11日に大阪府岸和田市内の鴻池組岸和田機材センターで実物大試験を公開した。

バキュームブラスト工法により壁面を研掃するロボット(写真:田口 由大)
バキュームブラスト工法により壁面を研掃するロボット(写真:田口 由大)
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 開発したロボットは、橋脚を把持しながら鉛直方向に動く「昇降ユニット」とブラストガンを備えた「研掃ユニット」で構成する。

 昇降ユニットは、内蔵エアシリンダーで4カ所に配置した車輪を橋脚に押し付けて把持し50~100mm/秒の速度で自動走行する。電源喪失などの異常が起こった場合には安全装置が働き、地上への落下を防ぐ。 

 研掃ユニットは、大型のブラストガンが走行レールに沿って60~80mm/秒の速度で水平移動しながら壁面を研掃する。電動スライダーでブラストガンを壁面に密着させ、粉じんが周囲に飛散するのを防ぐ。「ツーノズルハンドブラストマシン」を使用することにより、2本のブラストガンで橋脚の2面を同時に研掃できる。1日に約160m2以上の研掃が可能だ。従来の人力による研掃では1日に約100m2だった。

横から見た様子。裏面でも研掃作業していることが分かる(写真:田口 由大)
横から見た様子。裏面でも研掃作業していることが分かる(写真:田口 由大)
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ロボットに搭載したブラストガン。有効研掃径が従来のハンドブラストガンの約40mmに対して80mmと大きい(写真:田口 由大)
ロボットに搭載したブラストガン。有効研掃径が従来のハンドブラストガンの約40mmに対して80mmと大きい(写真:田口 由大)
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 ロボットには計4台のカメラを搭載しており研掃状態などをパソコンで確認できる。研掃が不足している箇所を見つけた場合に再研掃させるなど手動による制御も可能だ。