寄生虫が潜んでいる恐れがあり、調理時に加熱などが推奨されているサバ。ところが特別な育て方によって「生で安心してお召し上がりいただけます」と銘打つ商品があり、売り上げが急増している。この育て方は地域の活性化を促し、世界的に旺盛な水産物需要を賄う方策の一つにもなるという。一体どのような育て方なのか。
JR京都駅の構内に5月、すしなどを販売する店舗が登場した。目玉商品はサバの握り(1300円)。写真入りの商品説明には「生ならではの濃厚で甘い脂乗り」と記されている。サバやヒラメ、サーモンなどを彩り良く並べた押しずし(1000円と1500円)もあり、立ち寄った利用客は物珍しそうに眺めていた。
この店舗で使うサバは「陸上養殖」と呼ばれる方法で育った。一般的な魚の養殖は、海面に網で囲まれた「いけす」を設置して、その中で育てる。これに対して陸上養殖は陸地に養殖施設を造り、ろ過した海水や真水に塩を加えた人工海水を入れた水槽で育てる。
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