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ブンコレ~おすすめ文具コレクション

【番外】KobeINK物語 生みの親、竹内さんに聞く

2020.01.24
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「上手下手でなく、手書きの字には感情がにじむ。インクで味が出る」と、ナガサワ文具センターの竹内直行さん=神戸市中央区東川崎町1

「上手下手でなく、手書きの字には感情がにじむ。インクで味が出る」と、ナガサワ文具センターの竹内直行さん=神戸市中央区東川崎町1

「Kobe INK(神戸インク)物語」の色見本

「Kobe INK(神戸インク)物語」の色見本

 2007年に神戸で生まれた万年筆インク「Kobe INK(神戸インク)物語」。「六甲グリーン」なら「山と海に恵まれた自然豊かな風景。港町を見おろす六甲山系の深緑は、神戸っ子を癒やす。書斎で森林浴の気分を感じながらメッセージをつづって」と、1色ずつ地域愛あふれるストーリーを伝える。有馬や須磨、三宮、南京町、異人館も-と楽しみを広げ、限定色を除く品ぞろえは74色に膨らんだ。地域を代表する人気商品となったインクについて生みの親、ナガサワ文具センターの竹内直行さんに尋ねた。

 -2018年に「日本マーケティング大賞」の奨励賞を受賞した。

 「世に文具は数多いですが、市場に残るのはごくわずか。発売10年以上たっての受賞はありがたいです。あれから文具以外とのコラボなど、展開に広がりが生まれました」

 -開発のペースが速い。

 「年平均6色、限定品を入れると8色くらい作っています。ほぼ休みなく走り続けた感じです」

 -新作はどう生まれる。

 「休みのたび、現地取材します。1カ所を10回ほど訪ねたこともありました。色見本帳を持って行き、一番近い色を抽出します。写真を撮り、頭にイメージが残っているうちに手配します」

 -開発のきっかけが、阪神・淡路大震災とは。

 「もともと神戸発の文具を全国に発信したい思いはありました。しかし震災から10年、片付けや復旧復興に追われて仕事ができなかった。応援してくれた各地の取引先に神戸らしく、おしゃれ、粋にお礼の気持ちを伝えたいと考えました」

 「震災直後はともかく、その後10年ほど、好きな写真が撮れませんでした。大好きな神戸のいい時代を知っているから、撮る気になれなくて。色にこだわったのは、その反動もあったかもしれません」

 -支持はどう広がった。

 「店頭に少し並べたら、主に地元企業のオーナーが『おしゃれやん、買うわ』と。まち歩きするうち、いろんな人との関わりが生まれて主に口コミで評判になりました」

 -震災から25年たった。

 「まちも店も大きな被害を受け、いまも大変です。それでもまぁ、ようここまで戻ったと」

 -あらためて製品の特長を。

 「1色ごとのストーリーを重視しています。神戸の見過ごしがちな魅力を再発見してもらえたら」

 「手書きの字と新色を組み合わせたら、絵を描く人も求めるなど、使い道が広がっています。『岡本ピンク』は、男性教師が採点に使って先生の間で広がりました。最近は『王子チェリー』『元町ルージュ』派も増えているようで」

 -色は多彩につながる。

 「たかがインク、されどインク。まだまだ神戸の色を増やしたいし、コラボの輪も広げたいです」