日本兵遺骨をロ団体が収集 サハリン、占守島で
ロシア・サハリンや千島列島北東端のシュムシュ島(占守島)で、第2次大戦で犠牲になった旧日本兵や旧ソ連兵の遺骨を現地の団体「ロシア探索運動」が収集している。厚生労働省によると、同団体は日本人とみられる遺骨49柱を返還した。サハリン支部長のアルチョム・バンドゥーラさん(37)は「祖国に遺骨を返したいとの思いで活動している」と語る。
バンドゥーラさんによると、ロシア探索運動は2013年設立のボランティア団体で、政府の支援を受けて国内各地に拠点を置く。サハリン支部には学生や警察官ら男女35人ほどが所属し、積雪がない5~11月に長期休暇などを利用して遺骨収集を行っている。バンドゥーラさんは「最後の遺骨が見つかるまで捜し続けたい。人種は関係ない」と意気込む。
かつて北緯50度以南が日本領だったサハリンでは、1945年8月に対日参戦した旧ソ連軍が南部に侵攻。占守島にも日本のポツダム宣言受諾後の同18日に上陸し、武装解除中だった日本軍守備隊と戦闘になった。
今年8月下旬から占守島で遺骨を捜したロシア探索運動サハリン支部は、日本人とみられる4柱、ロシア人とみられる2柱を見つけた。現地入りした約20人は、テントや食料を運び込んで約20日間滞在。草原や岩場で金属探知機を使い、反応があった場所を丁寧にスコップで掘っていった。
旧日本軍の部隊名などを記した金属製のプレートもあった。「遺骨を見つけるたびに戦争の悲惨さが伝わってくる」とバンドゥーラさん。厚労省によると、これまでにサハリン支部が占守島で見つけた遺骨のうち、1柱を北海道小樽市の遺族に返還することができた。
サハリン州の州都ユジノサハリンスクにある支部と同じ建物内に、兵士の遺品を展示するスペースも設けた。バンドゥーラさんは「一人でも多くの人に遺品を見てもらい、戦争を考えるきっかけにしてほしい」と話した。〔共同〕