サザンと中島みゆきが「サブスク」にやってきた──。

 サブスクというのは、サブスクリプション型の音楽ストリーミング配信のこと。Apple Music、Spotify、Amazon music、YouTube Music、AWA、LINE MUSICなどの定額制の聴き放題サービスがそれに当たる。

 2019年12月20日、サザンオールスターズの全シングル・全アルバムがサブスク解禁となった。そして年が明けた2020年1月8日、中島みゆきが一部のサブスクに登場した。

サザンオールスターズの全シングル・全アルバムがサブスクに登場。写真は凝りに凝ったサザンの超豪華ツアーパンフレットとiPhone
サザンオールスターズの全シングル・全アルバムがサブスクに登場。写真は凝りに凝ったサザンの超豪華ツアーパンフレットとiPhone
(筆者撮影、以下同じ)
[画像のクリックで拡大表示]

 サザンの楽曲については、フロントマンの桑田佳祐がソロ楽曲で「“サブスクリプション”まるで分かんねえ」と歌っているだけに、まさか登場するとは思わなかった。というのは言い過ぎだが、聴き放題と最も離れたところに位置する大物アーティストという印象を抱いていただけに、「ついに来たか」と感じざるを得ない。こうなると、筆者の次の関心事は、B’zがいつサブスクにやってくるのか、である。

 井上陽水、松任谷(荒井)由実、福山雅治、Mr.Children、椎名林檎、嵐(一部楽曲)といった大物が続々とサブスク解禁を果たしている。その背景には、アーティスト、レーベル、マネジメントといった権利者達の間で、サブスクという新しいビジネスモデルに対する警戒感の薄れがあると思われる。

 日本におけるサブスクの本格登場から4年半を経て販売数という形で数字が明るみになるにつれ、「将来を見据えたら対応すべき販売方法」という認識が広がっているのだろう。カタログ曲数がわずか2000曲強という筆者が運営するレーベルの実績においても、サブスクからの売り上げは、2015年のApple Music開始後、確実に増加したからだ。

ばかにならない「チャリンチャリン」効果

 思えば筆者も当初、聴き放題サービスにおける売り上げ減を警戒していた。iTunesにおけるダウンロード販売の場合、150円の楽曲が売れると60〜80円の収益を得られる。一方、サービスの全売り上げを総ストリーミング数で案分し、それを各楽曲のストリーミング数に応じて分配するサブスクの場合、1ストリーミング当たりの収入はわずか0.4〜1.7円。こうした驚きの数字に接し危機感すら抱いたものだ。