河井克行被告

 昨年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で公選法違反罪に問われた河井案里被告(47)=参院広島=の第22回公判が22日、東京地裁であり、夫で元法相の克行被告(57)=衆院広島3区=が検察側の証人として出廷した。検察側の尋問に対して証言拒否を繰り返した一方、案里被告と共謀して現金を渡したとされる5人のうち、広島県議4人については「知らない」と関与を否定。江田島市議については証言を拒んだ。

 同事件の公判で克行被告の証人尋問は初めて。克行被告は冒頭、訴追を受ける恐れがある場合に認められる証言拒絶権を行使する考えを示し、その後の検察側の質問の大半に証言拒否を繰り返した。検察当局が両被告の自宅から押収し、両被告が現金を提供したとされる議員らの名前が書かれた「買収リスト」についても「必要なことは私の裁判でしっかりと説明したい」と述べるにとどめた。

 案里被告は昨年3~6月に克行被告と共謀し、奥原信也、下原康充、平本徹、岡崎哲夫の4県議と胡子雅信江田島市議の計5人に計170万円を渡したとして起訴されている。検察側から4県議への現金提供について尋ねられた克行被告は「妻がどなたに現金を渡したか知りません」などと自身の関与を否定。胡子市議については「証言を差し控えたい」と述べた。

 案里被告は、8月25日の初公判で5人への現金提供について「県議選の当選祝いだった」などと買収目的を否認。克行被告との共謀も否定し、無罪を主張した。一方で、この5人は案里被告の公判に順次出廷し、いずれも買収目的の現金だったと証言している。

 克行被告は9月15日に弁護人6人全員を解任し、1カ月以上にわたり公判が中断している。関係者によると、解任した4人を含む5人を新たに選任したという。克行被告は尋問の冒頭で「裁判長にご迷惑をおかけした。弁護人を選任し、一昨日(20日)に届けを出した。若干名、追加の選任準備を進めている」などと語った。23日は弁護側の反対尋問がある。

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 克行被告証言<1>必要なことは自身の裁判で申し上げていきたい

 克行被告証言<2>今立っている検察官に聴取を受けました

 克行被告証言<3>妻がどなたに現金を差し上げたかは知りません

 克行被告証言<4>政治的な経緯、歴史は本件に関わる

 克行被告証言<5>事件に関係ない質問はない。だから拒否します

 克行被告証言<6>証言を拒絶する権利を行使したいと思います

 克行被告証言<7>(検察官の)表現が、馬から落馬しているようでよく分かりません

 克行被告証言<8>汚い字をよく読めましたね