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駅チカビル型納骨堂「梅旧院」女社長が手を染めた脱税ビジネス 金の流れを分からなくする巧妙な隠蔽工作とは

 実際に業務委託があったように装うため、請求書を作成させて取引の痕跡が残る銀行振り込みで取引先に金を渡し、キックバックの際には「足が付かない」ように現金で手渡しさせる。山口容疑者にはこうした意図があったと思われ、隠匿した法人所得は5年間で計6億3千万円に上ったという。

資金提供し影響力強まる

 山口容疑者は脱税で得た資金を個人預金や有価証券の購入などにあてたとされる。なぜ、山口容疑者は脱税し、私的流用することが可能だったのか。その背景には、梅旧院光明殿のもととなった宗教法人「梅旧院」(大阪市天王寺区)に対し、山口容疑者が影響力を強めていった歴史的経緯もあるとみられる。

 関係者らによると、梅旧院は、曹洞宗永平寺系の寺院で、延喜年間の西暦900年ごろに創建したとされる。戦火で焼けてしまったが、学問の神様として知られる菅原道真や俳人の松尾芭蕉にゆかりのある寺院として知られた。

 一方、梅旧院が当事者となった民事訴訟の記録や登記簿、関係者らの話によると、平成6(1994)年秋ごろ、梅旧院の先代住職や、山口容疑者の元夫と関係の深い不動産仲介業者らが納骨壇の販売事業を計画。7年、梅旧院の分院としてビル型納骨堂が完成した。ところが3年後には納骨壇の販売が行き詰まり、資金繰りが悪化。納骨壇の仕入れ業者への支払いも滞り、破綻寸前の状況に追い込まれた。

 そこに救いの手を差し伸べたのが山口容疑者だった。

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