リーグVの西武ライオンズ、観客動員も快進撃
プロ野球の埼玉西武ライオンズが10年ぶりのパ・リーグ優勝を決めた。今季は開幕から首位を譲らぬ快進撃が続き、ファン層拡大に向けたイベントなども奏功。主催試合の観客動員数は比較可能な2005年以降最多を記録し、ファンクラブ会員数も伸びた。埼玉県内の商業施設などが一斉に優勝セールを始めるなど、地域経済の活性化への期待も高まっている。
今季の観客動員数(主催試合)は前年比5%増の176万3174人。前回優勝時の08年と比べると25%増と大幅な伸びを記録した。
ライオンズは球団名に「埼玉」を加えた08年以降、地元密着を志向した球団経営でファンを増やしてきた。15年からは県内全63市町村を対象に、スポーツ振興などで協力する「フレンドリーシティ連携協定」の締結を開始。18年9月末現在で35市町と結び、子供を球場に招待するなど地域貢献活動に力を入れている。
所沢に本拠を構えて40周年に当たる今季は地元志向を強めるとともに、平日に所沢に足を運びにくい都内勤務のファン獲得にも動いた。4月に球団史上初めて、東京ドームで主催試合を開き、1日で約4万5000人を集めた。本拠地でも女性客全員にユニホームを配ったり、小学生以下全員にキッズグラブを贈呈したりする企画で新たなファン層を開拓した。
これらの施策の効果もあり、今季の公式ファンクラブ会員は前年比12%増え、初めて10万人を突破した。特に中学生以下の「ジュニア会員」が13%増の2万2304人に達するなど、今後の固定ファンの獲得につながる兆しも見え始めている。
今季は得点シーンが多い「打ち勝つ野球」が特徴。観客が盛り上がる試合運びで、観客の球場内での消費意欲を刺激した。球団は実績を公表していないが「飲食やグッズ関連の売り上げは前年を2~3割上回る勢い」(関係者)という。
グッズ販売は球場外でも好調だ。さいたま市にある商業施設、大宮アルシェ内の「ライオンズストア」には優勝から一夜明けた1日、人気選手のグッズを求める客が多数訪れた。
県内の百貨店なども優勝セールを相次ぎ始めた。西武所沢店(所沢市)やそごう大宮店(さいたま市)は7日まで、日替わりで商品を割引する企画を実施。西武園ゆうえんちでは26日まで入園料(1200円)を無料にする。カタログ通販のベルーナが辻発彦監督の背番号にちなんだ「85%オフ」キャンペーンを企画するなど、スポンサー企業にも祝賀ムードが広がっている。
プロ野球球団がリーグ優勝した場合、地元に数百億円の経済効果があるとの民間試算もある。所沢商工会議所幹部は「優勝パレードが地元で実施されれば、駅前商店街のにぎわい創出に弾みがつく」と期待している。
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