世界初「顔面移植」の女性、術後の顔を公開(上)

昨年11月に世界初の顔面移植を受けたフランスの女性が、手術後2ヵ月あまり経過した顔を公開した。犬にかまれて大けがをした鼻、唇、あごの部分を、ドナーから提供を受け、15時間かけて移植が行なわれた。

AP通信 2006年02月07日

昨年11月にフランスで、世界初となる顔面の一部の移植手術を受けた女性が6日(現地時間)、手術後の顔を会見で披露した。そして、かなり不明瞭な発音ながら「他の人たちと同じように」見えるようになったと述べ、普通の生活を再開したいと語った。

手術を受けたイザベル・ディノワールさんは、言葉は聞き取りにくかったものの、犬にかまれて顔に大けがをした事情を説明し、新しい鼻から唇、あごにかけての部分を提供してくれたドナーの家族に感謝の意を示した。

11月27日にフランスのアミアンで行なわれた15時間にわたる手術で顔面組織が移植された部分には、円い形の細い傷跡がまだ残っていた(写真)。

手術後初めて開か記者会見(写真)で、ディノワールさんは「他の人たちと同じような顔になった。未来への扉が開こうとしている」と述べた。

30代後半のディノワールさんは、口を動かすことだけでなく、閉じることも難しい様子で、口が半開きのままになることも多かった。それでも、感覚を取り戻し始めているという。

「口を開けて食べることができる。唇や鼻、口があることを感じる」と、ディノワールさんは述べた。会見の途中、担当した外科医の1人が話しているときに、ディノワールさんはカップを口に持っていき、飲んでいるようだった。

皮膚の色について言えば、本来の皮膚と移植した部分の色は見事に一致していた。笑うときに、口の端をわずかに上げることはできたが、唇を閉じたままにっこり笑うことはできないようだった。話しているときも唇は動いていなかった。

ディノワールさんは、現在理学療法を受けているところで、提供された組織に対する拒絶反応を抑えるための薬を飲み続けなければならない、と話した。それでも将来を楽しみにしており、家に帰りたいと述べた。

「普通の生活を再開したい……ドナーの家族に敬意をささげたい。私が受けた手術は、他の人たちが人生を取り戻すために役立つと思う」とディノワールさん。

会見に出席した医師団は、他にも5件の顔面移植を実施するための許可をフランスの保健関係当局に求めていると述べた。ジャン・ミシェル・ドゥベルナール医師は、「フランスおよび全世界の多くの人々に、この手術を提供したい」と語った。

(2/8に続く)

[日本語版:平井眞弓/福岡洋一]

WIRED NEWS 原文(English)