独ダイムラー、トラック部門を分離上場・非連結化
【フランクフルト=深尾幸生】独ダイムラーは3日、商用車部門のダイムラー・トラックを分離して上場させると発表した。株式の過半をダイムラーの既存株主に割り当て、2021年末の上場を目指す。ダイムラー・トラックはダイムラーの後継となるメルセデス・ベンツの連結対象から外れる。高級車と商用車の2つの独立した企業として、経営の意思決定を速める。
ダイムラーのオラ・ケレニウス社長は電話会見で「我々は非常にダイナミックな変革期にいる。専業の組織の方が、意思決定のスピードを上げたり、自らの顧客や技術に集中したりしやすくなる」と話した。
現在は持ち株会社であるダイムラーの下に乗用車・バンのメルセデス・ベンツとトラック・バスのダイムラー・トラック、金融・サービスのダイムラー・モビリティーの3社がぶら下がっている。メルセデスをダイムラーの継続会社とし、ダイムラー・トラックとの2社に事実上分割する。モビリティーは2分割しそれぞれの会社の中に入る。メルセデスはダイムラー・トラックの少数株主となる。
メルセデスが富裕層などを顧客とする消費者ビジネスなのに対し、トラックは長期運用を前提とした法人向けビジネスで、顧客層が異なる。メルセデスは電気自動車(EV)への集中を打ち出している一方で、トラックは燃料電池車にも力をいれているなど技術面でも方向性の違いが目立ち始めていた。
メルセデスは高級車販売の世界首位。ダイムラー・トラックはトラックで世界首位だ。19年の売上高はそれぞれ約1070億ユーロ(約13兆5000億円)、440億ユーロだった。