80年代を代表するドラマの特集では必ずといって言いほどに名前が上がる『スクールウォーズ』。
元・名ラガーマンにして涙もろい熱血教師の滝沢賢治(山下真司)が、体当たり指導で不良たちのたまり場であった弱小ラグビーチームを数年間で全国優勝に導く話だ。

その名作に続編があったことを忘れてしまっている方も多いのではないだろうか?

今度の舞台は少年院!


90年9月スタートの『スクールウォーズ2』は、不良だらけの高校から少年院に舞台を移す。法務省は青少年の更生の一環として、少年院内に高校を作ることを計画。そのプロジェクト第1弾として創設された「光成学園」に、全国の少年院から選抜されたラグビー部の候補生が強制的に招集され、賢治は部の監督に就任する。
前作に比べ、ワル度は格段にアップし、やる気は大幅ダウン! しかも、ラグビー部結成当初のラグビー経験者はただ一人と、前作を遥かに上回る困難な状況で、賢治の闘いが再び始まる。
果たして、賢治は曲者ぞろいの少年たちを更生できるのだろうか? そして、ラグビー部は実績を残せるのだろうか?

当時の若手俳優たちがワルを熱演!


当時の若手俳優たちのフレッシュな演技も話題だった今作。主な出演者を紹介しよう。

■吉川静男(湯江健幸)
唯一のラグビー経験者。部室で他の部員の財布を盗んで逃走したことにより少年院送りに。
かなり厳しい措置の気もするが、ドラマを通じての抑止力にはなったのかも知れない。恋人役は島崎和歌子が演じているのにも時代を感じる。ココリコ田中似で、最近は『相棒』や『仮面ライダーゴースト』にも出演。

■秋本剛(榊原利彦)
恋人を襲った相手の局部を切断した罪で少年院送りに。病弱だった恋人はドラマ終盤で亡くなり、最終回には自身も墓前での自殺を図るが、賢治たちに止められる。ヘビーすぎる業を背負った物語の中心人物。
当時の芸名は「咲輝(さかき)」。最近は舞台を中心に活躍中。

■新田明(保坂尚輝)
ラグビー部を潰そうと暗躍するワル。極悪タックルにより、仲間の左山の選手生命を奪う。が、これを反省し真のラグビー部員となる。ドラマ内の冷たすぎる目に戦慄を覚えた記憶があるが、保坂の幼い頃のトラウマエピソードを知ってからはそれもやむなしと思った次第。
当時1番売れていた俳優とあって、他の部員が坊主頭の中、スポーツ刈り程度の長さとなっていた。

■水口征二(西村和彦)
元・定時制高校の野球部キャプテン。出場が決まっていた全国大会が長雨によって全面中止に。それにキレてしまい甲子園に侵入、優勝旗を燃やしてしまう。それにしても、全面中止とはあまりに非情な仕打ちである。近年はバラエティ番組でも活躍中。


■左山集一(松下一矢)
キックのテクニックが神業レベルの少年。母親の不倫相手を恨み、この男がトラックの荷台に乗っているところ目掛けてサッカーボールを蹴って見事命中。男は哀れにも転落死となり、少年院送りとなる。その正確無比のキックは、五郎丸を遥かに凌ぐ精度と思われる。芸能界はすでに引退。

衝撃の最終回、少年院生たちの運命は…?


結果からいうと少年たちは見事更生し、ラグビー部も確かな実績を残す。
チームワークどころか信頼関係ゼロでのスタートながら、結成1年目で見事花園出場を果たすのだ。賢治の手腕、ぜひ日本代表に迎えたいものである。
花園では1回戦敗退となるが、部員たちは更生が認められて全員出所でフィナーレを迎えている。……ラグビーをやってなかった少年院生たちが暴動を起こさないか心配な結末だ。

いわゆる『大映ドラマ』らしい荒唐無稽さを、パワフル&エネルギッシュな勢いでかき消してしまえれば良かったが、その熱量が前作に比べて圧倒的に足りなかったようで、打ち切りのような駆け足の最終回を迎え、全16話(前作は全26話)で終了してしまった。地上波での再放送の機会にも恵まれず、DVD化もしていない。

ラグビーが盛り上がって来た今、この作品にもスポットが当たることはあるだろうか? 有識者からは「ラグビーをなめんなよ」の声も上がって来そうではあるが……。
(バーグマン田形)
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