暴力団ではないが、凶暴はそれに匹敵するとされ、急速に存在感を増している不良集団「半グレ」。改正暴力団対策法や暴力団排除条例の制定により、表立った活動が難しくなった暴力団に代わり台頭が著しい。警察庁が一部を「準暴力団」と位置づけて全国警察に取締の強化を指示する中、これまでも半グレが暗躍してきた大阪ミナミでまた一つ、危険な集団が浮上した。その名は「軍団立石」。大阪府警は7月、酔客をターゲットに強盗致傷事件を繰り返したとして、メンバーを一斉摘発した。情け容赦ない、彼らの手口とは-。
因縁付けて執拗に暴行
「なにメンチ切っとんねん」
「俺の女に手を出したやろ!」
昨年9月、若者やサラリーマンが行き交うミナミの歓楽街で、酔客がこんな因縁をつけられ、暴行されて金品を奪われる強盗致傷事件が相次いで発生した。
府警によると、被害に遭ったのはいずれも、クラブ周辺を歩いていた10~20代の男性6人。見るからに不良然とした男から突然声を掛けられ、反論すると、どこからともなく集まった仲間の男らに取り囲まれた。
犯行グループの特徴は執拗なまでの暴行。前歯を折られたり、頭部に全治3週間の打撲を負わされたりした被害者もいた。うむを言わさない暴力で相手を無抵抗にした上で、現金の入った財布やかばんを奪うのが手口だった。被害総額は約130万円に上った。
府警は今年7月までに強盗致傷などの容疑で、リーダー格の無職男(24)ら18~28歳の男女8人を逮捕、送検。取り調べの過程で、男らが「軍団立石」なるグループ名を自称していることが分かった。