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現在白髪染め専門店2店舗オーナー「ボクサー・岩佐亮佑」 “二足のわらじ” で3度目世界王者目指す!!

2022年10月19日 06時00分

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自らオープンさせた白髪染め専門店の前でポーズを取る岩佐=千葉県野田市で(藤本敏和撮影)

自らオープンさせた白髪染め専門店の前でポーズを取る岩佐=千葉県野田市で(藤本敏和撮影)

  • 自らオープンさせた白髪染め専門店の前でポーズを取る岩佐=千葉県野田市で(藤本敏和撮影)
  • 5年前の岩佐は、魚屋と二足のわらじで世界を目指し、本紙に登場した=2017年1月18日付
  • 2018年3月、初防衛戦で攻める岩佐亮佑
 鮮魚店で働きながら世界王者となり、専業ボクサーとして世界王座に返り咲いた男が、今度は経営者として通算3度目の世界王座奪取を目指している。元IBFスーパーバンタム級王者・岩佐亮佑(32)=セレス。昨年4月にWBA・IBF統一同級王者ムロジョン・アフマダリエフ(27)=ウズベキスタン=に5回TKOで敗れて暫定王座を失ったが、現役続行を決断。その後に白髪染め専門店2店舗のオーナーとなりながら、25日に東京・後楽園ホールで行われる再起戦に備えている。(藤本敏和)
◇  ◇  ◇
 千葉県北西端の野田市郊外。スーパーマーケットに隣接した空色の店の前で、2度世界王者になった男が目を細めていた。今春に自分の手で一から開業した「白髪染め専門店キレイ 関宿次木(なみき)店」だ。
 「自分で立ち上げて、従業員も面接して。ボクシングやりながらのセカンドビジネス、やっぱ大変なのはありますよ。でも踏み入れた以上は、という感じです」
 世界王者になる前から、引退後は起業したいという思いがあった。鮮魚店で働いていたのも、接客の勉強を兼ねてだった。
 それが急に現実になったのが年明けだ。長く岩佐のスポンサーとなっている美容室グループ「TRUTH」代表の紹介で一店舗を買い取り、ほぼ同時に野田市に新たな店をオープンさせた。
 「経営を学びたいという相談をしていたら、フランチャイズで仕組みもできているし、ビジネスの勉強になるんじゃないの、という話になって。タイミングが合ったんです。それに、僕がおばあちゃん子で、孝行じゃないけど、一緒に出かけられる場所が欲しかったな、と思っていて。白髪染め専門店はそういう場所になれるんじゃないかと事業を始めました」
 新規開業のコストは600万円ほど。自己資金でまかなえないことはなかったが、あえて銀行から借りて経営している。「自己資金はゼロ。借りないと、どこかで『まあいいか』になっちゃいそうで。だから不安もあります。特に関宿次木店は(売り上げが)上がってきているけど、まだ赤字で。それに、従業員に給料を払っていく責任感も感じます」という。
 本業のボクシングでは25日、東京・後楽園ホールで、元WBOフェザー級1位で世界挑戦経験もある実力者セルバニア(フィリピン、カシミ)との再起戦となる同級ノンタイトル10回戦が控えている。
 昨春、ウズベキスタンで行われた世界2団体統一戦に敗れて世界王座を失って以来のリング。この試合は、猛攻を許したが、ダウンはもちろんぐらつく場面もないままストップがかかり、英語の実況も「(止めるのが)早過ぎる!」と叫んだ、まさかの結末だった。
 「引退も考えました。でも、不完全燃焼すぎてあれじゃやめられない。フェザー級に上げることで、さらに進化する余地があるとも感じる。対戦相手が決まるまで時間がかかったけど、セルバニアはパワーもあって強い。この階級の自分を試せる試合になると思います」
 再起戦が終われば、ビジネスもまた動かし始める。「もう一店舗、増やしますよ。柏で物件の候補があって。考えるのは試合終わってからですけど」。岩佐は、3度目の世界タイトルを目指すボクサーと、複数店舗を運営する経営者という“二足のわらじ”を履きながら、全力で走っている。
 岩佐が世界2階級制覇を目指すフェザー級は、世界的に層が厚い。現王者は36戦全勝(22KO)のWBCバルガス(メキシコ)、36勝(30KO)1敗のWBOナバレッテ(メキシコ)ら、知名度のある選手ばかりだ。
 ◆フェザー級メモ
 世界挑戦すら簡単ではなく、2013年4月に細野悟(大橋)がWBA王座に挑んで以来、日本人の世界挑戦はない。12年ロンドン五輪銅メダルの清水聡(大橋)ら国内のホープは何年もチャンスを待っている状態だ。
 だが、岩佐は平然としている。「日本で世界戦をやろうとすると大変でしょう。でも、僕はどこでも行きますから」。過去3戦はすべて海外。米国でのIBFスーパーバンタム級暫定王座決定戦を含め、その環境で勝ち抜いてきた。25日の再起戦をクリアすれば、また海外を主戦場にするつもりだ。
 ▼岩佐亮佑(いわさ・りょうすけ) 1989年12月26日生まれ、千葉県柏市出身の32歳。身長170センチ。柏市立大津ケ丘中2年でセレスジムに入門。習志野高で高校3冠を達成し2008年プロデビュー。日本、東洋太平洋バンタム級タイトル獲得後の17年9月にIBFスーパーバンタム級王座獲得。18年8月に王座を失ったが、19年12月に同級暫定王座決定戦を制し世界王座復帰。21年4月、WBA・IBF統一同級王者アフマダリエフ(ウズベキスタン)に敗れ王座陥落。27勝(17KO)4敗、左ボクサーファイター。家族は両親と姉。

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