日本、非常任理事国に選出 加盟国最多の11期目
【ニューヨーク=高橋里奈】日本は15日の国連総会で、安全保障理事会の非常任理事国に選出された。安保理復帰は2009~10年末の任期以来で、加盟国最多の11期目となる。シリアやウクライナなど国際的な課題に加え、北朝鮮問題など日本の国益に直結する懸案への対処でも主導的な役割を果たしたい考えだ。
岸田文雄外相は16日未明「非常任理事国として最多の11回目となる安保理入りを果たし平和、安全に貢献することは、我が国が新規常任理事国候補としてふさわしいことを示す機会ともなる」とのコメントを発表した。
10カ国の非常任理事国のうち任期が満了する5カ国を改選した。日本はアジア・太平洋枠の統一候補で事実上の信任投票となり、184票を獲得した。任期は16年1月1日から17年の12月末。
国連安保理は193の加盟国を拘束する決定を下す権限を持つ。決議は経済制裁や軍事力行使の根拠となる。1カ月ごとに代わる議長国になれば関心のあるテーマを議題にできる。日本は来年7月に議長国になる予定。「各地域の懸案など世界の情報が集中し複雑に絡む国同士の利害関係を直接把握できる」(外務省関係者)利点もある。
今回の選挙では当初、バングラデシュもアジア枠で立候補していた。同国は日本が非常任理事国に過去11回立候補して唯一苦杯をなめた1978年の対立候補。だが安倍晋三首相が昨年9月に日本の首相として14年ぶりに同国を訪れ、ハシナ首相が辞退を表明した。
ウクライナ、エジプト、ウルグアイ、セネガルの4カ国も選出された。ウクライナが議長国になれば、同国東部での親ロシア派との紛争を取り上げる可能性が高い。常任理事国のロシアはウクライナ危機に関する決議案に拒否権を行使して否決しており、対決は避けられそうにない。
さらにエジプトの選出で、シリア、リビア、イエメン、パレスチナなどでの紛争も引き続き重要なテーマになる。