サツマイモのウィルスフリー苗の作出

山本 陽子、水谷 弘輝

1.目的

サツマイモIpomoea Batatas Lam. Var. edulis Makino はヒルガオ科に属するつる性の多年草で熱帯を起源とする作物である。淡紫色の花はアサガオの花に似て小さく、長柄をもって腋生する。温帯では花をつけないのが普通であるが、沖縄・台湾などではよく開花する。接木と短日処理を行ったり、温室内で栽培したりして人為的に開花させて交配して採種し、品種改良が行われてきた。(朝日百科 植物の世界)しかし、一般に種芋から発芽、伸長するつるを切って苗として増殖が行われており、ウィルス等の病害による収量の減少、イモ重の減少など品質低下は免れない。生長点培養によりウィルスフリー苗の作出を目的として本試験を行った。

材料及び方法

加温して発芽を促した鳴門金時と種子島紫を用いた。殺菌は流水で30分間、70%エタノールで20秒間、有効塩素1%次亜塩素酸ナトリウム溶液で15分間浸漬攪拌し、その後滅菌水にて4回洗浄した。実体顕微鏡下で0.5mm以下の生長点を摘出し、MS基本培地に2.4-D0.1mg/lを添加した培地に置床した。培養環境は25〜26℃、3〜4000lx、16時間照明とした。

結果及び考察

置床培地では生長点の伸長は見られず、灰白色のフライアブルカルスが形成・増殖した。このカルスを再分化培地(1/2MS)に移植したが、植物体の再分化は見られなかった。次年度は一茎頂から一植物体を得られる初期培地の検討を行っていく。また、材料の供試部位は大量に得られるつる苗の腋芽を検討している。


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