2020.09.13
# Vtuber

月給1000万円超のVtuberも!2大事務所「にじホロ」のスゴい戦略

急成長する市場と、ウラにある課題
古田 拓也 プロフィール

ホロライブとにじさんじの違い

以上の分析から、ホロライブとにじさんじは全く同じビジネスモデルであると思われるかもしれない。しかし、両社の活動内容をより注視すると、双方の運営戦略にも特色がある。

まずはホロライブの運営戦略をみていこう。ホロライブには、女性ライバーの「ホロライブ」、男性ライバーの「ホロスターズ」という2つのグループがあり、それぞれ明確に区別されている。

しかし、ライバーが異性のライバーについて極力触れないようにすることは、Vtuberを「アイドル」とみなしているのであれば、当然のことだろう。現実世界のアイドルが異性アイドルに気軽に話しかけるようなことがあれば、たちまち炎上する。アイドルはファンと対峙する存在であるからだ。

一方で、にじさんじはこれと反対のアプローチをとる。同社の運営方針は、ライバーの性別で活動を区別していない。8月に行われた「にじさんじ甲子園」という大型企画や日々の配信等まで、男性ライバーと女性ライバーが仲睦まじく会話する様が散見される。ここから、にじさんじはライバーを「アイドル」というよりも、「学園モノや日常モノのアニメーション」に近い整理をしていると推測される。

ホロライブは、「ライバーと各々のファンが対峙する」という当事者同士の関係を重視する一方で、にじさんじ は「ライバー同士の関係性」を重視しており、にじさんじ ファンはライバー同士の関係性を、第三者として眺めることで効用を得ている側面が強いのではないだろうか。

 

Vtuber業界に潜む2つ課題

Googleの検索人気度を測る「GoogleTrends」のデータによれば、Vtuberの検索関心度は日を追うごとに上昇している。すでに「Vtuber」の検索人気度は、コロナ禍を機に上昇速度を高めており、足元では現実のアイドルである「欅坂46」に匹敵する水準に迫っている(なお、Vtuberは足元で1万人以上も存在しているため、これらが束となってようやくこの水準という見方もできる点には留意すべきだ)。

このような急成長市場で戦う企業が乗り越えなければならない課題のひとつは、「マネジメント関連のトラブル」である。伸びる知名度に管理体制が追いつかなければ、次第にファンの支持を失い、成長の腰を折ってしまう危険性がある。

現に、一見輝かしいVtuber業界も現在進行形で様々なトラブルに見舞われている。特に、世界ランキングを席巻するホロライブにはこのような”成長痛”の現れが著しい。

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