吉川元農相、異例の在宅起訴 端緒は河井夫妻捜査 養鶏業界実力者が図った政界工作

農林水産省の大臣室で河井克行衆院議員(左)、案里参院議員(右)の夫妻と写真に納まる吉川貴盛元農相=2018年10月(克行議員のブログから)
農林水産省の大臣室で河井克行衆院議員(左)、案里参院議員(右)の夫妻と写真に納まる吉川貴盛元農相=2018年10月(克行議員のブログから)

 養鶏業界を巡る汚職事件は15日、吉川貴盛元農相(70)が在宅起訴され、昨年に続いて安倍政権下の閣僚経験者が起訴される展開となった。東京地検特捜部は、国際化の波に反発した養鶏業界リーダーによる政界工作の中から、大臣の職務権限を幅広くとらえて事件化した。

 今回の事件の端緒は、2019年の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件の捜査からもたらされた。

 特捜部は20年6月、元法相で衆院議員の河井克行被告(57)と妻で参院議員の案里被告(47)=公職選挙法違反で公判中=を逮捕した。大手鶏卵生産会社「アキタフーズ」は夫妻の地元・広島に本社を置き、グループ元代表の秋田善祺被告(87)は克行議員の支援者の一人。広島地検は20年7月、買収事件の関係先として同社本社などを家宅捜索し、秋田元代表による「政界工作」の証拠を押収した。

 関係者によると、証拠には秋田元代表のスケジュール帳や、政界工作に使われた現金の出金記録が含まれていた。秋田元代表は克行議員をはじめ、内閣官房参与を昨年12月に退職した西川公也元農相(78)や与野党の国会議員に現金を渡したことを認めたとされる。

 秋田元代表が農水族議員に手広く現金提供していた構図が浮かんだ。ただ、収賄罪は、公務員が職務に関して賄賂を受け取った場合に成立する。立件対象となるのは、依頼されて国会で質問した例などに限られる。その中で特捜部が着目したのが…

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