「女体美」と「完全なる官能」を志す変態大学生が、ポールダンスを習得。
文字数 858文字

↑ポールダンスの準備運動中。
吉行淳之介『暗室』
「官能の作家」たる吉行淳之介は、私が偏愛する作家の一人だ。
中でも、谷崎潤一郎賞受賞作の『暗室』は、「官能」ということについて深く考察した大好きな本。
「それは、あきらかに生殖とは切り離された性行為である。」
こう表現される完全な「官能」。それを極め続けるということが、いかに「惰性」や「日常」に侵されやすく不安定なものなのかがよくわかる。
「旅館の部屋には、風呂場も便所もあるが、台所がない。その点を私は好み、」
旅の宿、ホテルというものは自宅と同じ様なつくりでも、非日常の喜びを感じさせる。それを吉行淳之介はこんなふうに暴いてしまった。
「台所」。「日常」の代名詞。それがあるなしで、非日常の喜びや、官能の雰囲気は一気に壊れてしまう。「官能」の大敵は「日常」、そう確信させてくれる。
そして吉行淳之介という作家には、その「官能」の世界に人を誘う不思議な魔力がある。
「美しい女同士が抱き合うのは、官能の世界に生きることだ。そこには、受胎も家庭生活もなく、あるのは官能の揺らめきだけである。」
こんなふうに、覚悟を持って「官能の世界」に飛び込むこと。そういうことを酷く心地の良いものに見せる。
そういうわけで、この作品や、吉行の別作品『砂の上の植物群』の女体美と官能の世界に魅せられた私。
ポールダンスを習得したんですよね。

↑ポールダンス練習中。

↑写真/gaso

↑写真/oyama yasufumi
『暗室』吉行淳之介/著 (講談社文芸文庫)

↑写真/静川文一
吉行ゆきの@変態文学大学生
「文学」と「変態」と「酒」を偏愛する北大生。主にTwitterで活動し、全国で無駄にリテラシーの高い変態文学イベントなど開催。ミスiD2021受賞。
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