欠格条項、一律削除へ 成年後見制度で法案決定
政府は13日の閣議で、認知症や知的障害などで成年後見制度を利用した人が、公務員などの資格を失う各種法律の「欠格条項」を原則として削除する一括法案を決定した。制度利用者の権利を一律に制限してきた規定が人権侵害との指摘があったためで、地方公務員法など関係する188本の法律からなくす。面接や試験で資格保有にふさわしい能力があるか個別に判断することとする。
成年後見制度は、判断能力が十分でない人に代わって、後見人らが財産管理や契約行為を行う制度。制度を利用すると、公務員や弁護士、社会福祉法人の役員などが資格や地位を失うほか、建設業の営業許可が出ないなどの「欠格条項」がある。
内閣府の有識者委員会が昨年まとめた報告書では、欠格条項について「同じ程度の判断能力でも、成年後見制度を利用している人のみ各種資格から一律に排除され、能力を発揮する機会が失われている」とした。
認知症や障害で支援が必要な人は数百万人以上いるとみられるが、成年後見制度の利用者は約20万人にとどまっており、欠格条項が制度の利用をためらわせる要因になっているとの指摘もある。
施行日は資格などによって異なり、法案が成立すれば公布の日に施行されるものもある。〔共同〕