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栄枯織りなす絹の街 ちりめん街道(時の回廊)

京都府与謝野町

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京都府北部の与謝野町加悦(かや)地区は高級織物「丹後ちりめん」で隆盛を極めた。この地を貫く「ちりめん街道」には江戸から昭和の各時代を映した貴重な建築物が立ち並び、「屋根のない博物館」ともいわれる。

「カシャーン、カシャーン」と機織りのリズミカルな音が響く中、街道を進むと、白壁の旧尾藤家住宅が見える。

120棟の伝統建築

尾藤家は北前船を所有し、ちりめん問屋として財を成した豪商だ。当主は銀行頭取や鉄道会社社長、町長を務めた。街道の語り部、青木順一さんは豪邸について「江戸時代末期の1862年、但馬国久斗(くと)村(現兵庫県日高町)にあった母屋を買い取り、船で運搬した」と語る。金額は75両。中庭を囲んで座敷や蔵が配置されている。明治から昭和にかけて増築され、2階の一部が洋館の珍しい造りになった。

街道奥の旧伊藤医院診療所は1917年築で、大正ロマンの雰囲気を残す洋館だ。玄関周りに施されたしっくいのレリーフが目を引く。街道入り口の旧加悦町役場庁舎は29年築。曲線を使った左右対称、吹き抜けの洋館は昭和モダンを伝える。27年の北丹後地震で倒壊した庁舎を豪商らの寄付で、当時の最新の耐震技術を施して建て直した。

青木さんは「この地は16世紀末、安良(やすら)城の城下町として整備された。1722年にちりめん織りの技術が伝えられ、丹後と京都を結ぶ物流の拠点として栄えた」という。

窓の格子模様は「4本は機屋、3本は呉服屋、2本は糸屋」で、当時の仕事がわかる。最も古い1804年築の下村家住宅には外からは見えないが、明かりを取り入れる「機屋窓」が残る。全長約800メートルの街道沿いの建物のうち約120棟は江戸から昭和初期の建築。2005年に「重要伝統的建造物群保存地区」に指定された。

■生産量1/30に

丹後ちりめんは生糸を縦横交互に織り込んで生地にした絹織物。不純物を取り除く過程で糸が収縮することで生まれる細かい凸凹状の「シボ」が特徴だ。しわが出来にくく、しなやかな風合いになる。凸凹の乱反射が色合いに独特の深みと豊かさを生み出す。

現在の年間生産量は、最盛期だった1960年前後の30分の1にも満たない30万反。後継者不足などで空き家も目立つ。住民で作る「ちりめん街道を守り育てる会」会長を務めた藤田史郎さんは「街道の保存はまず住民の生活を守ること」とした上で「観光面などを考えると空き家の修復、活用が課題。歴史や文化的背景を後世に伝えていくことも欠かせない」と話す。

7月18日に京都縦貫自動車道が全通し、近くの与謝天橋立インターチェンジ(IC)が名神高速道路と直結する。地元は「うらにしと機神(はたがみ)様に育まれるちりめんの郷(さと)」として、丸一日過ごせる観光ツアーを準備する。「うらにし」は、北西の風が吹き付け変化が激しいこの地の気候を表す言葉だ。時代ごとの顔を持つ街道は高速道整備を機に、観光スポットという新たな顔を持つかもしれない。

文 シニア・エディター 泉延喜

写真 大岡敦

<より道> 繊維街の鉄路 SL大集合

ちりめん街道から車で約5分の国道沿いに「加悦SL広場」がある。ちりめんの輸送や子供たちの通学の足として活躍した加悦鉄道の蒸気機関車が展示されている。同鉄道は1926年、旧市街地の加悦駅と旧国鉄(現京都丹後鉄道)丹後山田(現与謝野)駅間5.7キロメートルの営業を始めた。23年の関東大震災で官営鉄道計画が白紙になったが、ちりめん豪商を中心に村民823人の出資で実現にこぎ着けた。

39年から第2次世界大戦終戦の45年までの間、近くで採掘されたニッケルも運んだ。自動車の普及や繊維産業の衰退などで85年に営業終了。廃線跡はサイクリングロードに、「日本の駅百選」に選ばれた旧加悦駅舎は資料館として当時の様子を伝えている。

展示の目玉は「2号機関車」。元は1874年の大阪―神戸間開通時から活躍した「123号」で、新橋―横浜間を走った「1号機関車」に次いで重要文化財に指定された。他に、閉園した宝塚ファミリーランド(兵庫県宝塚市)からやって来た「103号機関車」など計27両が展示されている。

同広場は「2号機関車も運転台に乗って触ることができる。加悦鉄道の歴史に触れてほしい」としている。

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