無人機プレデター&リーパー

死者1000人、巻き添え多数

 米軍の無人機による作戦は、多くがアフガニスタンとその周辺で展開されている。2004年6月には、パキスタン北西部の部族地域(アフガニスタン国境に隣接し、中央政府の支配が完全には及ばない)で、パキスタンのタリバン指導者を無人機の攻撃で殺害した。戦争当事国でないパキスタン領内での攻撃は正規の作戦ではなく、米中央情報局(CIA)の仕事とみられている。
 米主導の対テロ戦争を継続観測している非営利組織のウェブサイト「ロングウォー・ジャーナル(LWJ)」によると、無人機攻撃はそれ以降、2010年2月までに110件を超え、死者は1000人を上回っている。この中にはテロ組織アルカイダの高級幹部15人とタリバンの高級幹部1人が含まれているものの、死者の大半はターゲットの近くにいた家族や無関係の市民だとされる。
 無人機攻撃は個人を狙うケースが多く、戦争というよりは「暗殺」に近い。ただ、人間ではなく機械に頼る分、精密さに欠け、爆弾やミサイルを使った大ざっぱな作戦にならざるを得ない。兵器の威力が高いだけに巻き添え被害も大きく、地域住民の反米感情をあおる結果にもなっている。

新着

会員限定

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ