貴景勝、大関から関脇に陥落 22歳の未来守った千賀ノ浦親方…記者の目

スポーツ報知
稽古後に話し合いをする貴景勝(右)と千賀ノ浦親方

 大相撲の夏場所を右膝負傷で途中休場した大関・貴景勝(22)=千賀ノ浦=が、初のカド番となる名古屋場所(7日初日・ドルフィンズアリーナ)を休場することが4日、決まった。4時間以上の話し合いを経て、出場を望む貴景勝が、師匠・千賀ノ浦親方(元小結・隆三杉)の休場勧告を受け入れた。途中出場はせず、新大関からわずか2場所での陥落で、9月の秋場所は関脇へ。取材に応じた失意の大関は、10勝以上で大関復帰となる秋場所を見据えた。

 貴景勝の休場は、賢明な判断だ。強靱(きょうじん)な下半身をバネのように使った突き押しスタイルを支えているのは、間違いなく夏場所で負傷した右膝。ぶっつけ本番の復帰となれば力士生命を左右しかねなかった。

 再休場して2度不戦敗し、批判を浴びた夏場所の教訓も生かされた。当時、再出場は師匠・千賀ノ浦親方との話し合いの末、新大関の意見を尊重して決まった。名古屋で負け越せば関脇転落だけに、カド番脱出へ復帰を急ぎたいのは当然。番付上の重圧もあったのだろう。だが、同じ過ちは許されない。本調子ではない弟子に対し師匠は最後、休場勧告までして止めた。

 角界で師匠は、いわば親代わり。昨年末、貴景勝らが旧貴乃花部屋から移ってきた際も「どの子も我が子」と歓迎した師匠は今回、何としても未来ある22歳の相撲人生を守ろうとした。陥落しても来場所、2ケタ勝てば大関復帰の道がある。不安だらけのまま名古屋で勝ち越しを目指すよりも、力強い貴景勝の復活を誰もが待っている。(大相撲担当・小沼 春彦)

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