2011年3月18日12時5分
地中から大人の身長ほどに飛び出したコンクリート管=千葉県浦安市、吉井亨撮影
地中から道路や庭に噴き出した砂。一時は街中に積み上げられた=千葉県浦安市弁天、小沢香写す
地割れができた堤防道路の遊歩道=千葉県浦安市日の出8丁目、小沢香撮影
路上に飛び出したマンホール=千葉県浦安市日の出2丁目、小沢香撮影
地中から飛び出したマンホールや排水管、泥が噴き出した道路や遊歩道の地割れ。東日本大震災は、住宅やマンションの立ち並ぶ首都圏の埋め立て地域や水辺のまちに液状化現象も引き起こした。
●千葉
千葉県は浦安市や千葉市美浜区の幕張地区で液状化が起きた。東京ディズニーリゾートのある浦安市は、JR京葉線周辺から海側の埋め立て地一帯で断水。18日現在でも3万7千世帯で復旧が遅れており、下水道も約4割の地域で使えない。
マンションが立ち並ぶ地域の道路は、地中のマンホールが大人の背丈ほどの高さに飛び出た。道路はあちこちでひび割れ波打ち、噴き出した泥が黒く固まっている。
地震発生時は地盤がゆるみ傾く家が続出。12、13日の週末は、道路を覆った砂をスコップで掘る人がめだった。浦安市の弁天地区で、40〜50センチの深さの泥で埋まった車2台を掘り出した榊原正さん(52)は「家も傾き沈んだ。どこまで直せるのか」と疲れた表情で語った。
林立するマンションも、基礎杭を打ち込んだ建物は無事に見えるが、周囲の地面が沈み、地中の排水管がむき出しになっている。
浦安市日の出5丁目の大型マンションは排水管が壊れて600戸が水道、トイレを使えなくなった。「これだけ街中が壊れると行政だけに頼れない」と自治会役員の神田茂樹さん(49)。管理組合と自治会で仮設トイレを設置し、汚水槽から仮の管をつないで下水管までつないだ。
千葉市美浜区の幕張地区でも液状化で地震直後から断水や減水となり、最大で一時8100世帯が不自由を強いられたが、17日夕に復旧した。
●茨城
茨城県潮来市日の出地区。湖と川に囲まれた新興住宅地は、電柱が傾き、電線が垂れ下がっている。家は沈み、道路は大きく波打っている。約120世帯、約200人が避難生活を送っている。
避難所の中学校に水をもらいに来た主婦(51)は「個人の力ではどうにもならない」とため息をついた。自宅は40〜50センチも沈み、10度ほど傾いた。調査に来た修理業者は家に入るなり「気分が悪くなった」と言った。市全域で上下水道が被害を受け、トイレも使えない。
別の女性(34)は家から布団を運び出していた。「これからもさらに家が沈む」と言われたという。門が傾いた家から出てきた女性(81)は「何もかも傾いていて、いつも揺れているみたいでおっかない」と不安をもらした。
●東京
東京都内でも海岸に近い江東区や江戸川区で液状化が起きた。江東区は区内13カ所で液状化を確認。新木場駅南側で土砂が噴き出て道をおおい、ひびが入ったり波打ったりしている。江戸川区も東京湾に面した埋め立て地で、公園、緑地、民家の敷地などで砂が噴き出し、10〜30センチ陥没したところもある。(中村真理、小沢香、神田明美)