イスラエル総選挙、右派過半 首相続投の見通し
【エルサレム=飛田雅則】一院制の国会(定数120)解散に伴うイスラエル総選挙は9日、投開票された。与党リクードを軸とする右派陣営が過半数を確保する見通しで、同党党首のベンヤミン・ネタニヤフ首相(69)が続投する可能性が高まった。ネタニヤフ政権が続けばトランプ米政権の支持を背景にパレスチナやイランへの強硬姿勢を強めるとみられ、中東情勢に大きな影響を与えそうだ。
選挙管理当局が発表した開票率97%時点での各党の得票率をもとに計算すると、リクードと中道野党連合「青と白」がともに35議席で、第1党に並んだ。単独過半数の党はないが、リクードを含む6党で連立協議するとみられる右派陣営が合計で過半数に達するとの予測を各メディアが伝えている。同陣営は計65議席前後になりそうで、解散前の連立与党(5党)の61議席を上回る勢いだ。
正式な選挙結果は早ければ11日にも判明する。
リクードにベニー・ガンツ元軍参謀総長(59)らの「青と白」が挑む構図になった。全国1区の比例代表制で、焦点は2009年から首相を続けるネタニヤフ氏が続投するか否かだった。対立するパレスチナにリクードが強硬姿勢を維持する一方、「青と白」は対話の可能性を示唆していた。
ネタニヤフ氏はトランプ米大統領と親密で、選挙戦では米大使館のエルサレム移転の実現、ハイテク産業が軸の経済成長など実績を誇示した。
これに対し、ガンツ氏は、検察が起訴方針を表明したネタニヤフ氏の汚職疑惑を批判し、政権交代を訴えた。自身を含め軍トップの参謀総長経験者を3人そろえ、有権者の関心が高い安全保障への取り組みを強調した。
イスラエルでは1948年の建国以来、単独で過半数を獲得した政党はない。次期政権の行方は選挙後の連立協議で決まる。通例は大統領の指名を受け、第1党の代表が首相候補として連立協議を主導する。だが、各党が第1党の代表以外を首相に推す場合、この人物が組閣の指示を受ける可能性はある。