小平と高木美、競い合い快挙 スピード女子1000
【平昌=桜田優樹】6日目を迎えた平昌冬季五輪。スピードスケート女子1000メートルで小平奈緒選手(31)と高木美帆選手(23)が2位、3位に入った。金メダルまであと少し。残った種目で雪辱を誓う姿に国内外から熱い声援が送られた。
「もう一段高いところで2人が並べたら最高だった」。日本の女子選手2人が同一種目で表彰台に上がる初の快挙。それでも小平選手は悔しさを隠しきれなかった。
小平選手の後を追い、成長してきた高木選手は1500メートルの銀に続く2つめのメダル。「想定した以上のレースができた。(銀メダルをとった)1500メートル以上に自分を褒めてあげたい」と納得の表情を見せた。
今季ワールドカップ4戦3勝と好調のまま、世界記録を持つ1000メートルに臨んだ小平選手は最後から2番目の15組で登場。号砲とともに低い前傾姿勢のまま大きなストライドでグイグイと加速。最後のカーブを曲がりきっても懸命に氷を蹴り続けた。
ゴール後、わずかにライバルに及ばなかったことを確認した小平選手は一瞬天を仰ぎ、大きく息を吐いた後、手を振って観客席の声援に応えた。
小平選手は3回目の五輪出場で個人として初のメダル獲得。「自分の好きなように氷を味わおうと思って走った。諦めずにゴールラインの先まで実力を出し切れた」と白い歯を見せた。「(18日の500メートルレースでは)しっかり集中していきたい」と気持ちを切り替えていた。
レース後の記者会見で高木選手は「オランダの選手を挟まずに(小平選手の)隣に立てたら良かった」。小平選手は「高木選手と五輪で一緒に競い合うことができてうれしく思う。本当にたくましくなったし、私自身の力になった」と互いに高めあった後輩スケーターの活躍を喜んだ。
高木選手の父、愛徳さん(60)は表彰台に立つ娘に対し、喜びをかみしめるようにゆっくりと拍手を送った。「小平選手と2人でメダルを獲得したのは本当に誇らしい」と笑顔を浮かべ、「勇気を与えてくれる滑りだった」と快挙をたたえた。
母の美佐子さん(55)も「小平選手と一緒に2位、3位を占め、喜びが2倍になった気分」と興奮した様子だった。