動物との交流を描くテレビ番組などに出演し、「ムツゴロウ」の愛称で親しまれた作家の畑正憲(はた・まさのり)さんが5日午後5時53分、心筋梗塞のため北海道中標津町の病院で死去した。87歳。福岡市生まれ。葬儀は親族で行う。喪主は妻純子(じゅんこ)さん。
東京大理学部卒業後、学習研究社(現学研ホールディングス)に入社して動物記録映画を製作。1968年に退社して著作活動に入り、同年「われら動物みな兄弟」で日本エッセイスト・クラブ賞。「ムツゴロウの 博物志」や「ムツゴロウの青春記」「ムツゴロウの動物交際術」などの著書多数。
北海道に「動物王国」をつくり、イヌやクマなどさまざまな動物と共に暮らした。動物王国を舞台に80年に放送が始まったフジテレビの「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」シリーズは20年以上続く人気番組に。世界を旅して動物に親愛の情を示す姿も共感を集めた。
ライオンに指をかまれるなどしても動物側を責めない人柄や、多くの芸能人がまねした「ようし、よし」と体をなでながら動物との距離を縮める愛情表現などで、お茶の間の人気も高かった。
動物文学の発展などの功績で菊池寛賞を受賞。86年には、大ヒットした映画「子猫物語」の監督を務めた。