新発10年物国債の取引成立せず 13年ぶり、日銀買い入れが影響
14日の債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の取引が成立しなかった。1日を通して取引が成立しなかったのは、2000年12月26日以来約13年ぶりという異例な事態だ。日銀が量的・質的金融緩和の一環として市場から大量に国債を買い入れる結果、市場参加者同士の売買が細る流動性の低下を反映している。
長期金利は前週に0.605%に低下。14日は節目の0.6%を下回るかが焦点だったが、ある大手証券のディーラーは「取引しようにも上司の決裁がもらえない状態」と打ち明けた。商いが細っているうえ、来週は消費者物価指数など重要統計の発表を控えており相場が動く可能性があったためだ。
日銀の異次元緩和の影響も大きい。日銀が国債の発行額の約7割を買い入れており、市場における国債の取引量の低下につながっている。ソシエテジェネラル証券の島本幸治東京支店長は「表面的には金利は低位安定して見えるが、市場機能は弱っていて、ショックがあれば金利は急騰しかねない」との懸念を示す。