国連安全保障理事会の常任理事国であるロシアがウクライナに軍事侵攻している。現状の国連に存在意義はあるのか。
国連の安全保障理事会は2月25日に会合を開いたが、ロシアに対する制裁も非難決議も採択できなかった。同国が拒否権を行使したからだ。しかも安保理の議長国(交代制)が侵略したロシアだったので、まるで冗談のような光景だった。
国連憲章23条で「中華民国、フランス、ソヴィエト社会主義共和国連邦、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国及びアメリカ合衆国は、安全保障理事会の常任理事国となる」と常任理事国が定められている。いまだに、国名が中華民国とソ連となっているのには驚く。
今回、国連安保理が機能しないので、各種の改革案が浮上している。その一つとして、常任理事国の拒否権を一定の場合に制限する案もある。
一般論としていえば、拒否権の制限には、国連憲章の変更が必要で、総会の3分の2と全ての常任理事国の賛成が必要だ。はたしてうまくいくだろうか。
そこで、まずは今回のウクライナ侵攻問題に絞り、ロシアを常任理事国から外すことが考えられる。それほどに今回のロシアの暴挙はひどいものだ。その際、ロシアは1991年に崩壊したソ連を引き継いだが、その手続きに瑕疵(かし)があったことを理由とすると、欧米メディアで報じているものもある。