ヨルダン川西岸で入植地建設承認 イスラエル、20年ぶり
【カイロ支局】イスラエル政府は30日、占領地であるヨルダン川の西岸のラマラの北方に新しいユダヤ人入植地を建設することを承認した。イスラエルによる新たな入植地の建設は20年ぶりという。イスラエルは昨年以降、入植地での住宅建設など入植活動を加速しているが、「親イスラエル」とされるトランプ米大統領も自制を求めているほか、アラブ諸国も反発を強めている。
今回のイスラエル政府による承認は、2月にパレスチナ人の私有地に住宅を許可なく建設したとして、強制退去させられたユダヤ人入植者に居住地を与えるのが目的だ。
トランプ米大統領は就任前、イスラエルの入植活動に理解する立場を表明していた。しかし、イスラエルが入植地での住宅建設計画を次々と発表したことを受け、トランプ氏は2月にワシントンでネタニヤフ首相と会談した際、自制を求めた。
米メディアによると米政府は今回の承認について「以前から予定されていたもの」として容認する立場を示唆している。しかし、アラブ諸国の反発は必至。29日にヨルダンの死海沿岸で開かれたアラブ首脳会議では、イスラエルに撤退を求める声明を出したばかり。
ヨルダン川西岸には40万人弱のユダヤ人入植者が住む。1967年の第3次中東戦争でイスラエルが占領した東エルサレムと合わせると入植者は60万人を超えるという。
入植地が承認されたことは、米国でトランプ政権誕生でイスラエルの右派が強硬姿勢に傾いていることを示す。今後、イスラエルとパレスチナの対立が先鋭化すれば、暗礁に乗り上げたままの中東和平プロセスの再開に影響しそうだ。