天月-あまつき-、日本武道館の1万人に向けて「君の世界を変えに来た!」/レポート
撮影/川崎龍弥(isai)

好きなことに巡り合い、夢中になり、それを信じて邁進した先が、この満場の武道館の光景へとつながっていた……。そんな天月-あまつき-(以下:天月)の来し方とこの先が伺えた一夜であった。


天月が自身の単独ライヴとしては過去最大のキャパシティと広さであった日本武道館公演『Loveletter from Moon』を大成功させた。6月27日発売のアルバム『それはきっと恋でした。』の全曲が、この会場ならではの演出や工夫のなか、ブロックや流れ、物語を伴いながら展開された、この日。それは、本編全体でのニューアルバムの楽曲を通した「いま、そしてこれからもよろしく」感と、アンコールでの人気/代表曲による、「これまでありがとう」感による、彼のこれまでとこれからの縮図を感じさせ、図らずとも現在のベストソング集へと化させていた。

2010年より、動画共有サイトへの投稿をきっかけに頭角を現し始めた天月。ハイトーンで少年性を擁したその歌声は、爽やかさと甘さを同居させ、人懐っこくいたずらっぽさのあるビジュアルとともに、中高生を中心に人気を上げてきた。
また、その活動は歌うに留まらず、演劇、朗読劇と幅広く活躍。海外にもファンは多い。実際この日も海外からの参戦者も散見された。

インターネット出身アーティストでは初の日本武道館単独ライヴ。今年6月27日にリリースしたニューアルバム『それはきっと恋でした。』に他ならない。
そんな同盤に収録されている曲たちを7人の重厚なバックバンドと10人のダンサーたち、そしてお客さんたちの歌声も交え、どれだけ“天月色”に染めていくか? その辺りも楽しみに会場へと赴いた。結果は、終始、徹頭徹尾、“まぎれもない天月一色”。その歌声や各曲の擁する世界観に、満場が自身の想いや気持ちを重ねていっている光景の数々も印象深かった。
天月-あまつき-、日本武道館の1万人に向けて「君の世界を変えに来た!」/レポート
撮影/川崎龍弥(isai)

会場が暗転すると、ノスタルジックでファンタジーなデパーチャー映像が流れ出す。そんななか、同スクリーン前からせり上がり登場した天月。地上5mの高さから『今夜君の世界を変えに来た!!』とシャウト。
1曲目の疾走感のある「アストロスト」が会場を伴いライヴを走り出させる。ステージに降り立ち「DiVE!!」に入ると、レーザー光線が飛び交うなか、<君と僕なら/どんな壁も越えて行けるさ/そうでしょ?>と歌われる同曲が会場とステージの距離をぐっと縮めていく。『欲張りなんで、いろいろな方法で2時間楽しませたい』『今日は君に伝えたいことがいっぱいあるんだ』と天月。次の「イデア」では会場を交えての並走を魅せ、放たれた『会いに来た! 武道館』の一言が会場全体をギュッと抱きしめにかかる。

『せっかく自分の意志でここまで来たんだから、今日は楽しんでいってよ。暴れていこうぜ!!』の一言後は、激しい楽曲ゾーンへ。
4人のダンサーたちを交え歌い踊った「ヒロイックシンドローム」では会場もツーステップで応対し、吹き上がる炎と共にバーレスクな雰囲気を広げた「Mr.Fake」、16ビートのダンサブルさの上、哀愁と情熱を広げていった「マリオネットラヴァーズ」が立て続けに歌い踊られていく。
天月-あまつき-、日本武道館の1万人に向けて「君の世界を変えに来た!」/レポート
撮影/川崎龍弥(isai)

中盤に向かうゾーンではセンターステージの活用も印象深かった。ピアノを基調にした優しげで柔らかい歌声と共に会場の大合唱で楽曲が完成をみせた「ホシアイ」、エレキギターを弾きながら歌った「ガラクタモンスター」、お客さんがサイリウムで色とりどりに作った虹の空間のなか歌われた「ツナゲル」が、各人に“どんな明日がそこに待ってるんだろう……”との思いを馳せさせた。

折り返し地点からは、ストリートファッションに身を包んだインカムマイクの天月と総勢10人のダンサーたちを交え、楽しいナンバーが贈られた。楽しい雰囲気が会場を包んだ「Sing! Swim! Swing」、会場中の大合唱も特徴的だった「月曜日の憂鬱」、作品以上に少女漫画感が増した「かいしんのいちげき!」、また、カノンのフレーズも織り込まれた「きっと愛って」では、至福と福音に包まれるなか、会場中の恋が精一杯応援された。後半に入ると聴かせる曲たちが耳を惹いた。
映像をバックに座ってしっとりと感動的に伝えた「僕のことなら忘れてくれていいよ」、幻想的な満天の星空の中歌われた「Flight Light ~星くずと Boeing~」が壮大に、その歌声を大会場いっぱいに広げていった。
天月-あまつき-、日本武道館の1万人に向けて「君の世界を変えに来た!」/レポート
撮影/川崎龍弥(isai)

『一曲一曲、夢が叶っている瞬間でした。ここがゴールではなく通過点にしたい。今日という日が、あなたのかけがえのない1日になってくれたら嬉しい』との言葉のあと放たれたラストの「君三部作」が、さらにステージと会場との距離を近づけていく。『今日は間違いなく君がいたから成立した』との感謝の気持ちを込め、鍵盤を弾きながら歌われた代表曲「キミトボク」、ライヴを再度一緒に走り出させた「きみだけは。」、本編ラストは会場の客電全開にて、ハート型の飛行機がひらひらと会場を舞うなか歌われた「君が僕の心に魔法をかけた」が優しく柔らかく、それでいて力強く会場を包んでくれた。

対してアンコールは彼の出自や代表曲たちばかりであった。
「小さな恋のうた」(モンゴル800)でライヴを再び疾走させると、「流れ星」を基調に、彼の代表曲の代表フレーズたちがメドレー式に飛び出す贅沢な楽曲、ラストの「Hello,My story」では、自分が信じて歩んできた道が間違えじゃないことを誇らしく雄々しく力強く歌われ、それは歌を超え、集った者たちの力となっていった。

アンコールのMCにて天月は、好きなものと出会い、信じ、それを守り育み続け貫いてきた結果が、この日のステージにつながり、ひいては聴き、集った者たちへの明日への活力につながっていたことを感謝の意を込め、感涙も交え伝えた。
天月-あまつき-、日本武道館の1万人に向けて「君の世界を変えに来た!」/レポート
撮影/川崎龍弥(isai)

数年前、PCに向かい、たった一人で発信し始めた彼の活動が、以後、多くの同志を集め、結果こんなに沢山の人を集わせ、会場も伴い一緒にライヴを共に作り上げたことを、帰路、改めて心から祝った。

取材・文/池田スカオ和宏
撮影/川崎龍弥(isai)

<セットリスト>
1.アストロスト
2.DiVE!!
3.イデア
4.ヒロイックシンドローム
5.Mr.Fake
6.マリオネットラヴァーズ
7.ホシアイ
8.ガラクタモンスター
9.ツナゲル
10.Sing! Swim! Swing
11.月曜日の憂鬱
12.かいしんのいちげき!
13.きっと愛って
14.僕のことなら忘れてくれていいよ
15.Flight Light ~星くずと Boeing~
16.キミトボク
17.きみだけは。
18.君が僕の心に魔法をかけた
Encore
En-1.小さな恋のうた
En-2.メドレー(流れ星~コスモノート~虹の向こうへ~LIFE~はじまりのうた~ハートフルエッジ~気まぐれメリーゴーランド~ネバーエンドランド~プレゼント~流れ星)
En-3.Hello,My story