現代重の海洋プラント工場 8月に稼働中断
3年半、受注ゼロで
【ソウル=山田健一】韓国造船最大手の現代重工業は22日、韓国南東部の蔚山造船所のそばにある海洋プラント工場の稼働を8月から中断すると公表した。中断は1983年に同工場を竣工して以来初めて。今後、人員削減など固定費の低減を検討するとみられる。
同業のサムスン重工業も海洋プラント事業を縮小する方針。韓国における同事業の競争力低下が鮮明になってきた。
「海洋プラントの製造をやめざるを得ない現実を率直に申し上げる」。現代重の姜煥亀(カン・ファング)社長は22日、従業員向けの声明を出し、こう述べた。「中国に海洋プラントはつくれないと思っていたが現実は違った」と本音を打ち明け、固定費を削減しない限り、中国やシンガポールとの競争に勝てないと訴えた。
現代重は約3年半の間、新規受注がゼロだった。14年にアラブ首長国連邦(UAE)企業から受注した最後の案件を7月に引き渡せば仕事が無くなり、下請けを含めて従業員約5000人の処遇が課題になる。
現代重が主要生産拠点の稼働を止めるのは17年の韓国南西部の群山造船所に続いて2年連続。大型オイルタンカー(VLCC)などの得意分野に経営資源を集中させて、巻き返しを狙う。
韓国市場では、現代重は2018年12月期に構造改革費用がかさんで「17年12月期の営業黒字から赤字に転落する」(韓国SK証券)との見方がある。サムスン重工業は1月に18年12月期の赤字見通しを公表済み。