2日に亡くなった落語家・桂歌丸さん(享年81)の葬儀が10日、横浜市内の斎場でしめやかに営まれた。

 歌丸さんは日本テレビ系の人気演芸番組「笑点」のレギュラー回答者、司会を半世紀も務めた。本紙でも既報した通り、「笑点」に歌丸さんを起用したのが故立川談志さんだ。歌丸さんは談志さんのことを「恩人」と言ってはばからなかったが、談志さんにとっても歌丸さんは大事な盟友的存在だった。

 演芸関係者は「晩年の談志さんは、落語会に出演する予定があっても、時間通りに来ることはほとんどなかったことで有名。それどころか『今日はやめた』と、来ないこともたびたびあった。関係者はいつも『今日はホントに来てくれるのか?』とヤキモキしていた」と明かす。だが、歌丸さんとの「2人会」だけは別だったとか。

「談志さんは、その時だけ誰よりも早く来たらしい。関係者やお弟子さんも『歌丸師匠との会の時はホッとする』と言っていた。どうやら、早く会場に行って、歌丸さんと話をしたかったようなんです」(同)

 いったい何の話をするのか?「そりゃもちろん、落語の話ですよ」

 晩年の談志さんは、落語の登場人物に独自の解釈を加えるなど、まるで学者のように古典落語を研究しまくった。一方、歌丸さんも、晩年に三遊亭円朝作の長編人情噺に挑戦するなど、古典落語に没頭した。

「初期の歌丸さんは新作落語もやっていたが、晩年は古典に専念した。談志さんも古典落語に命をかけたような人だから、話をしたかったのでしょう」(同)

 歌丸さんは生前「目をつむった後はラクしたい。だから、今苦しむんです」と話していたが、このあたりも談志さんと共通していたようだ。談志さんはひと足先に2011年に亡くなったが、今ごろ天国で歌丸さんと再会し“落語論”に花を咲かせているだろう。