紫綬褒章を受章した劇作家で演出家のつかこうへいさん(59)は在日韓国人。「日本の戸籍がないので、夢にも思わなかった。両親は亡くなっていますが、生きていたらきっと、喜んでくれたでしょう」としみじみと喜びをかみしめた。
大学在学中に演劇活動を始め、「熱海殺人事件」や後に小説版が直木賞を受賞した「蒲田行進曲」などを次々と発表。1970−80年代、若い世代の圧倒的な支持を集めた。
一方で俳優や劇作家、演出家の育成にも力を注いだ。94年に「北区つかこうへい劇団」を旗揚げし、小西真奈美さんや黒木メイサさんら人気俳優を輩出。「いろいろな役者を育ててきたことも評価されたと思います」
夏に各地で上演する「売春捜査官」は、娘が父である総理大臣を弾劾する物語。「権力と闘う姿勢はこれまで通り変わりません。弱者の目線で、ものづくりを続けていきたい」