ダイハツ、欧州から撤退 東南アジアにシフト
13年1月末、環境規制・円高で採算悪化
ダイハツ工業は14日、2013年1月末で欧州市場での新車販売から撤退すると発表した。日本の乗用車メーカーが欧州市場から撤退するのは初めて。ドイツやイタリアなど欧州10カ国向けに乗用車を輸出してきたが、08年秋のリーマン・ショック後は売れ行きが低迷。円高・ユーロ安もあり採算が悪化していた。海外事業は当面、生産拠点のあるインドネシアなど東南アジアに集中する方針だ。
欧州では約1000社のディーラーを通じ、小型乗用車「テリオス」(日本名ビーゴ)や「シリオン」(ブーン)、「クオーレ」(ミラ)など5車種を販売する。08年には現地で計5万7700台を販売したが、09年は約4割減の3万6300台、10年はさらに1万9300台まで減少。36万台を超えた海外販売の中で存在感が薄れていた。
テリオスとクオーレは子会社のダイハツ九州(大分県中津市)で、他の3車種は本社工場(大阪府池田市)で生産し、完成車として日本から輸出している。ただ販売減や円高で欧州事業は赤字に陥っていたようだ。
欧州では二酸化炭素(CO2)などの排ガス規制が今後も厳しくなる見通しで、規制に対応するためのコスト負担なども考慮して撤退を決めた。新車販売終了後も、部品供給や整備などのアフターサービスは継続する。
ダイハツの海外事業は主要市場で苦戦が続いている。1986年に米子会社を設立して米国市場に参入したが、小型車が現地のニーズに合わず撤退。世界最大の自動車市場に育った中国でも、07年に自社ブランドでの乗用車販売を始めたが知名度不足などで09年に販売をやめた。10年には中国での合弁会社も解消し、事実上、撤退している。
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