福岡県久留米市は福岡市、北九州市に次ぐ福岡県3番目の人口を有する中核市で松田聖子、チェッカーズなど著名なスターの出身地としても有名な地である。スポーツ界でも〝世界のナカノ〟こと元競輪選手の中野浩一氏も久留米市出身だ。その久留米市の久留米競輪場でガールズケイリンのGⅠ『オールガールズクラシック』が26日から開催される。大会を前に久留米競輪を施行する、久留米市商工観光労働部競輪事業課の矢野功治課長にこれまでの久留米競輪、そして将来像について話を聞いた。
<再整備計画が進む久留米競輪>
自転車競技世界選手権の個人スプリントで前人未到の10連覇を果たした中野浩一氏(35期・1992年引退)は久留米競輪場をホームバンクとしていた。年に1回開催される開設記念競輪(GⅢ)はその名も「中野カップレース」と名付けられ今年で30回目を迎える。
スーパースターを生んだ久留米競輪だが、その収益は市の一般会計に繰り入れられ、市民生活に必要な事業に活用。その額は1949年の開設から、2023年度までの間で総額約390億円に達し、久留米市民の生活向上に大きく役立てられている。近年も売り上げは好調で「2023年度は収益が約15億円あったので4億円を繰り入れる予定を補正して5億円を入れました。今年度は補正なしで最初から5億円の予定です」と力を込める。
昨年3月、久留米市は競輪場の再整備基本計画を発表した。基本コンセプトは「PARK in KEIRIN―競輪場に公園の価値を創る―」。計画では現在ホーム側にある選手宿舎、管理棟をバック側に移転、メインスタンドは現在よりもコンパクトなものに建て替えられる。その狙いについて「ネット投票へ移行するお客さまも多いという現状を踏まえ、適切な規模の施設にする必要があります」と話す。それにより新たに生まれるスペースは芝生観覧スペースとして整備され、市民の憩いの場として活用される予定だ。
整備期間は約6年。今年度から2年間を調査設計期間として、選手宿舎、管理棟が移転する第1期工事は27年度、メインスタンドが新設される第2期工事は29年度に完了予定。その後、芝生観覧スペースなどが整備され30年度に全ての工事が完了する予定だ。
競輪場の隣にはBMXコースや変わり種自転車が用意された「久留米サイクルファミリーパーク」という自転車のテーマパークがあるが、今回の工事が完了すると両施設間の回遊性が増し「競輪場、サイクルファミリーパークも含めて自然の中で過ごしてもらえるようなエリアになります」と、全体が市民の憩いの場に生まれ変わる構想だ。
今回の計画は開設以来の大規模な工事となるが、期間中もバンクは使用できるので競輪は開催される。その理由を「競輪事業の目的はできるだけ多く収益を上げて一般会計に繰り出すことなので開催は行っていきたい。また、雇用という視点でも開催することが重要です」と競輪開催の〝一丁目一番地〟を強調。これからも工事完了後も久留米競輪は〝縁の下の力持ち〟として、久留米市民の生活向上のために競輪を開催し続ける。