【赤坂英一「赤ペン!!」】打撃コーチだった田代富雄氏が突然楽天を退団してから3週間以上経過した。田代氏は私の取材に答え、三木谷オーナーの現場介入が「許せなかった」と胸の内を吐露。これに三木谷オーナーが「介入ではなくチームとフロントとの一体化だ」と反論して、球界に大きな波紋を広げている。

 あれから楽天のチーム状態はどうなっているのか。大久保監督に聞いてみると「本当のことが明らかになって良かったんじゃないか」と、こんな答えが返ってきた。

「いままではぼくたちも自分から(采配の内情について)話すことができなくて、ウワサが独り歩きしていたでしょう。でも、(三木谷)会長が実際のことを全部話してくれたんで、むしろやりやすくなりましたよ」

 以前は三木谷オーナーの独断で決められることが多かったオーダーも、最近では現場コーチ陣の意見が反映されるようになっているという。橋上ヘッド、草野、平石打撃コーチがオーダーの案を提出、大久保監督がOKを出し、三木谷オーナーが決裁するという形だ。

 コーチ陣の発案で松井稼が2番に入り、ウィーラーが初めて4番に抜てきされた20日の西武戦では「今日のオーダー、面白いな!」と、大久保監督がコーチ陣を大声で鼓舞。その半面「試合前の練習ではぼくは打撃ケージの後ろに立たないようにしています。若い打撃コーチがぼくに遠慮して指導を控えたりすると困りますんでね」と気配りも欠かさない。その日の試合には残念ながら敗れてしまったが。

 日ごろ神経をすり減らしているからか、最近は夜の街に飲みに出ることもめっきり減った。単身赴任している地元・仙台には国分町という盛り場があるが「自分から足を運ぶことはありませんね」。遠征先には宮崎の芋焼酎「庄三郎」の一升瓶を持参し「部屋飲みに徹している」という。

 しかし一方で、田代氏退団の影響がまだ尾を引いていることも事実。あるチーム関係者によると「いまでも田代さんに個人的な助言や指導を求めている選手は少なくない」という。いくら三木谷オーナーが「介入ではなく一体化」だと主張しても、田代氏のように「そんないびつな体制では勝てっこない」と指摘する声も球界には多い。

 今後も、楽天が負ければ大久保監督も容赦なく批判される。本当に大変なのはこれからだろう。