「リコノミクス」で注目された李克強氏、存在感低下させ最後の首相記者会見

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 【北京=比嘉清太、田川理恵】中国の全国人民代表大会(全人代=国会)は11日、今年の国内総生産(GDP)の成長率目標を「5・5%前後」と設定した政府活動報告などを採択し、閉幕した。 李克強リークォーチャン 首相は閉幕後にオンライン形式で記者会見し、ウクライナ侵攻を巡る対ロシア制裁に反対する意向を示した。来年に2期10年の任期が終了する李氏にとって、最後の首相記者会見となった。

全人代閉幕後に記者会見する李克強首相を映し出す街中の大型モニター(11日、北京で)=片岡航希撮影
全人代閉幕後に記者会見する李克強首相を映し出す街中の大型モニター(11日、北京で)=片岡航希撮影

 李氏は記者会見で、米欧などが強めている経済制裁は「世界経済の回復に打撃となる」と主張した。「平和に立ち戻るため、国際社会とともに積極的な役割を発揮したい」とも述べた。経済成長目標については、実現は「容易ではない」との認識を示し、税の還付や財政出動で下支えする意向を強調した。

 李氏は「今年は首相を務める最後の年だ」と述べ、「国民が認めてくれる点もあれば、至らない点もあった」と、就任以来の中央政府の仕事ぶりを振り返った。

  胡錦濤フージンタオ 前国家主席の政治基盤「共産主義青年団」(共青団)出身のエースとされた李氏は首相就任当初、改革開放政策の一層の推進を表明し、その経済政策は「リコノミクス」(李克強経済学)と呼ばれた。その後、 習近平シージンピン 国家主席が自らへの権力集中の一環として、それまで首相が担当してきた経済分野などの権限を握ったため、李氏の存在感は相対的に低下していた。

 習氏が今年後半の共産党大会で発足させることが確実な3期目政権では、李氏は全人代常務委員長への転出が有力視されている。ここで早くも焦点となっているのが、来年の全人代で選任される後任首相人事だ。

 下馬評に挙がるのは、 汪洋ワンヤン 人民政治協商会議主席、 韓正ハンジョン 筆頭副首相、 胡春華フーチュンフア 副首相、 李強リーチャン 上海市党委員会書記、 李希リーシー 広東省党委書記の5人だ。

 首相が副首相経験者から選ばれてきた通例からすれば、汪、韓、胡の3氏となる。ただ、韓氏は党大会時点で、最高指導部で慣習となってきた定年の68歳に達する。李克強氏と同様に共青団出身の色が強い胡氏は、習氏との関係に距離があるとされている。習氏に近いとされる李強、李希の両氏は副首相経験はないが、習氏が来年の全人代までの間に副首相に起用し、首相に昇格させるとの観測もある。

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2829417 0 国際 2022/03/11 21:30:00 2022/03/11 21:30:00 2022/03/11 21:30:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/03/20220311-OYT1I50155-T.jpg?type=thumbnail

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