河井克行被告

 昨年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で、公選法違反罪に問われた元法相の河井克行被告(57)=衆院広島3区=が新たに弁護人を選任したことが21日、関係者への取材で分かった。克行被告は9月15日に6人の弁護人を全員解任し、公判が中断している。弁護側は、近く東京地裁や検察側と審議日程などを協議し、その後に公判が再開される見通し。

 関係者によると、克行被告は解任した6人の弁護人のうち、4人を再任。さらに新たに1人を選任し、この弁護人が主任弁護人を務める方針で、現時点では5人の弁護団になる方向という。克行被告は弁護側が主張を変えないことを選任条件にしていたといい、引き続き無罪を主張するとみられる。弁護人が正式に弁護団を結成後、検察側、裁判所との協議に入る。

 克行被告と妻の案里被告(47)=参院広島=の公判は、迅速に審理する「百日裁判」として週3、4回の日程が組まれ、8月25日に始まった。同じ法廷で審理されてきたが、克行被告は9月15日の公判後、弁護人を全員解任。関係者によると、過密な審理日程や保釈が認められないことに不満を募らせていたという。

 刑事訴訟法の規定で弁護人なしでは公判を開けないため、翌16日に案里被告の公判と分離されて克行被告の公判は中断。案里被告の審理が単独で進んでいる。

 克行被告は、22、23、28日にある案里被告の公判に証人として出廷する。

 起訴状によると、克行被告は昨年3〜8月、案里被告を当選させる目的で地方議員や後援会員ら100人に計2901万円を渡し、うち5人について案里被告と共謀して計170万円を渡した疑い。両被告は現金提供の事実をおおむね認める一方で、買収の意図を否定し無罪を主張している。