電通が省エネ事業でも再委託で受注 法人設立に経産省が関与か

2020年6月13日 07時12分

省エネ事業でも再委託で受注していた電通の本社ビル

 広告大手の電通が、持続化給付金事業を受託した「サービスデザイン推進協議会」(サ協)以外にも、経済産業省の事業を受託した別の一般社団法人の構成企業に名を連ねていたことが分かった。この法人の代表理事はサ協の設立時の代表理事と同一人物で、事業を電通に再委託する手法も同じ。定款の作成者名も経産省内部の部局で、サ協と同様、経産省が設立に関与したことをうかがわせる状況となっている。 (森本智之、大島宏一郎)
 電通が設立していたサ協とは別の法人は、一般社団法人「環境共創イニシアチブ」。信用調査会社によると、電通が省エネに関する国の補助金交付事業を手掛けるため、グループ企業やエネルギー団体とともに二〇一一年に設立した。構成する企業は電通、電通ライブ、電通国際情報サービス、トランスコスモス、大日本印刷など。給付金事業に関わる企業が名を連ねた。
 梶山弘志経産相の十二日の国会答弁によると、一七〜一九年度の三年で、「環境共創」が国から受託し電通に再委託した事業は計三十五件、百六十億円。答弁によると、同様に国から受託し電通に再委託した一般社団法人は、ほかにサ協と「キャッシュレス推進協議会」の二団体があり、受託した事業は三団体合計で計四十二件、四百三億円に上った。
 環境共創は、新型コロナウイルス収束後の国内消費の喚起を狙う「Go To キャンペーン」の公募前のヒアリングも複数回受けていた。
 一三年当時の環境共創の定款をインターネットで調べると、作成者名は経産省の「情報システム厚生課」だった。タイトルは「補助金執行一般社団法人(仮称)定款(案)」で、作成者、タイトルともサ協の定款と同じだった。
 環境共創の業務執行理事は定款について「なぜそうなっているかは分からない。調べたい」と話した。電通との関係に関しては「コールセンターやホームページの立ち上げなどを外注している。設立に経産省は関係していない」とした。

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