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新型コロナウイルス禍で亡くなった感染者との最後の対面をかなえようとする動きが広がっている。コロナ禍の初期は対面を果たせず、火葬後に遺骨が引き渡されるケースが大半だった。大切な人との最後の対面は、遺族の喪失感を和らげる効果もあり、厚生労働省は遺体からの感染リスクについて研究を進めている。(増田知基)
火葬前、納体袋越しに
東京都立川市の住宅街の一角。葬儀業「
夫は糖尿病などの持病があった。この対面の3日前、リハビリ先の病院で、79歳で亡くなった。1月上旬からの入院中、コロナに感染していた。
この間、女性は夫と面会できず、最期の時も一緒にいられなかった。「骨だけを渡されるのは嫌だった。50年以上連れ添った夫の顔を見て、自分なりに見送ることができ、ほっとした」と女性。この対面後に夫の遺体は火葬され、3月上旬に「骨葬」を営んだ。
昨年夏頃から状況変化
コロナ感染者の遺体の扱いを巡っては、2020年3月のコメディアン志村けんさん(当時70歳)の死去時に、遺族が対面できなかったことが世間の話題となった。
政府は20年7月、遺族や医療従事者、葬儀業者ら向けの指針を作成。納体袋に入れて適切に管理すれば遺体からの感染リスクは極めて低いと指摘し、可能な範囲で対面の場を設定するよう求めた。しかし実際には、多くの葬儀業者や斎場が対面には慎重で、葬儀仲介会社「ライフエンディングテクノロジーズ」(東京)が昨年1~6月に行った調査では、コロナで家族を亡くした500人のうち、遺族が対面しないまま、遺体が火葬されたケースは8割に上った。
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