それでもなぜK-POPは世界を制したのか。韓国アイドルが政治を語り始めた理由

「K-POPはマスメディアにとって厄介なもの」

そう語るのは『K-POP 新感覚のメディア』などの著書がある北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院の金成玟(キム・ソンミン)准教授だ。

BTS(防弾少年団)やTWICEなど韓国の音楽グループが歴史認識を巡って大きな注目を集めている昨今。テレビ出演の見送りや広告の中止など日本での活動にはすでにさまざまな影響が出ているが、元徴用工判決や慰安婦問題など2019年に向けて日韓関係はさらに緊張が続く。

“第3次韓流ブーム”はこのまま終わるのか?

K-POPは“ピュアな音楽”じゃない

K-POP

日韓関係という視点だけで見ていても、K-POPのグローバルな人気の理由は分からない(写真はイメージ)。

shutterstock/Boontoom Sae-Kor

一連の発端となったのは、テレビ朝日の音楽番組が、BTSのメンバーが原爆投下時の様子がプリントされたTシャツを過去に着用していたことを問題視し、出演を急遽中止したことだ。

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日本ではアーティストなどが社会問題に関する発言をすると、その内容以前に「音楽に政治を持ち込むな」とバッシングされることも少なくない。金さんは今回のテレビ朝日の判断を「K-POPという音楽空間と日本のマスメディアのずれ」から起きた問題だと見ている。

「今の日本のテレビが流している音楽は、マスメディアや広告主の論理から脱却しない、誰かを刺激しない安全なものばかりで、視聴者もそれに慣れている。

一方のK-POPは社会と常に連動していて、例えば#MeToo運動が起きる前と後では社会のジェンダー規範も全く異なるものになっているので、以前は受け入れられていた歌詞も当たり前のように批判されます。

音楽・産業・社会の感覚を媒介するという意味でK-POPは“メディア”なんです。出演の是非を論じる前に、K-POPは日本のマスメディアが想像する“ピュアな音楽”とは根本的にメカニズムが異なっていることを理解しないと、今後も同じようなことが繰り返されると思います」(金さん)

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