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国外退去処分になった外国人の入国管理施設での扱いが注目を集めています。難⺠に厳しいと言われる日本。人権は守られている︖

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死亡スリランカ人女性、CT画像に白い影 名古屋入管、不適切対応の疑い

名古屋出入国在留管理局(名古屋市)に収容され、死亡したスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)=家族提供
名古屋出入国在留管理局(名古屋市)に収容され、死亡したスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)=家族提供

 名古屋入管に収容中の3月6日に死亡したスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が緊急搬送された後、病院で受けた血液検査やCT検査の結果を毎日新聞は関係者から入手した。その分析を複数の医師に依頼したところ、医師らは「集中治療室での高度医療が必要なレベルで、もっと早く病院で治療を受けさせるべきだった」と指摘した。名古屋入管が適切な医療を提供していなかった疑いが濃厚になった。支援者によると、死亡した経緯に疑念を抱く遺族らが5月1日に来日し、事実関係の説明を入管側に求める。【和田浩明、上東麻子/デジタル報道センター】

医師「高度医療が必要なレベル」

 出入国在留管理庁がまとめた中間報告書などによると、ウィシュマさんは2021年1月中旬から嘔吐(おうと)や食欲不振、体重減少、体のしびれなどを訴え始め、「容態観察」のため監視カメラ付きの単独室に移された。健康上の理由で一時的に収容を解く仮放免や、外部病院での点滴などを求めたが認められなかった。

 3月6日午後2時7分ごろ、職員らが居室で脈拍がない状態であることを確認し、名古屋市の総合病院に緊急搬送された。同3時25分、死亡が確認された。

 入管側が衆院法務委員会の議員に示した司法解剖結果には「甲状腺炎による甲状腺機能障害により全身状態が悪化し、既存の病変を有する腎などの臓器不全が加わり死亡したとするのが考えやすい」と記されている。

 ウィシュマさんの緊急搬送後に病院で行われた血液検査やCT検査の結果を毎日新聞は入手し、複数の医師に分析を依頼した。

 甲状腺専門医の和田修幸(のぶゆき)・横浜関内わだクリニック院長は「甲状腺機能のデータがないので、具体的なことは判断しかねますが」と前置きしつつ、「一般的にみてかなりひどい状態です」と指摘した。肺については「CT画像の撮影時刻によりますが、生前…

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