タイ中銀、2会合連続利上げ 政策金利1%に

【バンコク=井上航介】タイ中央銀行は28日の金融政策委員会で、政策金利(翌日物レポ金利)を0.25%引き上げ、年1%にすると決定した。利上げは8月の前回会合に続く2会合連続。世界的な資源の高騰を背景にインフレ圧力が続くとみており、さらなる金融引き締めで物価上昇を抑えたい考えだ。
タイ中銀は声明で「国内経済は回復基調にあるが、インフレリスクは高まっている」と指摘し、利上げの必要性を強調した。連続利上げは約11年ぶり。委員7人の全会一致で0.25%の上げ幅を支持し、即日で実施した。

足元ではウクライナ情勢の悪化により、原油と食料品の価格が高騰している。8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月に比べ7.86%上昇し、2008年以来の高水準となっている。家計や企業活動にも影響を及ぼしており、市場では「今回の会合でも利上げを実施する」(タイ金融関係者)との予想が支配的だった。
利上げは自国の通貨安を抑える狙いもある。米連邦準備理事会(FRB)は21日に3会合連続で0.75%の利上げを決めた。自国から資金が流出するリスクが高まっており、すでにバーツは対ドルで06年以来の安値圏で推移している。通貨安が進めば国内のインフレを一層加速させる恐れがあり、タイ中銀は警戒を強めている。