取材

「俺の才能にひれ伏せ!」、アニメ化決定した「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の伏見つかさトークショーで語られた制作秘話


公式サイトではなく、アキバBlogでアニメ化発表がされたライトノベル「俺の妹がこんなに可愛いわけがない(以下、俺妹と省略)」。徳島で行われたイベント「マチ★アソビvol.3」では、原作者の伏見つかささんやアニメ化企画を立てたアニプレックスの岩上さんらが作品について語るトークセッションを行いました。

「俺妹」のメインキャラは普段から会話もなかった高校生の兄と中学生の妹。妹はモデルもやっているほどの美人で頭もいいが18禁ゲームが趣味で、その秘密に関する騒動に兄が力を貸すことになって2人の関係が変化していくというストーリー。トークセッションでは作品の設定やアニメへの展望について語られていました。

詳細は以下から。
会場となった徳島の「しんまちボードウォーク」。開始1時間前はほぼ設営のスタッフだけでしたが……。


イベントが始まるとかなりの人だかりができていました。


トークイベントに集まったのは4人。左から電撃文庫編集部の小原さん、同じく電撃文庫編集部の三木さん、伏見つかささん、アニプレックスの岩上さん。


三木:
今日はすごく暑いですね。徳島はどうですか?

伏見:
徳島はいいところだと思っていましたが、今朝ドラクエのデータが消えて大ショックです。朝から泣きそうになって今もテンションが上がっていません(笑)。すれちがい対戦もセットしているんですが、レベル1のかわいそうなモンスターがいれば私です。

三木:
岩上さん、アニメ化良く受けてくれましたね。

岩上:
いや、原作を面白いと思って読んでいたので、こちらこそご一緒できて嬉しいです。
僕は新しいホームコメディだと思っていて、今まで扱ったことのないネタが盛り込まれています。見ていて笑っちゃうような楽しいフィルムになると良いなと思っています。

三木:
アキバblogではオプーナのAAですが、本当は偉いプロデューサーです。

伏見:
ネタ的には結構ヤバイかもしれないなと原作者としては思うのですが、大丈夫でしょうか?

三木:
…だ、大丈夫だと思います。

小原:
何故ちょっと回答が止まったんですか(笑)

三木:
いやいや、伏見さん本人に聞かれるのも変だなと思いまして。大丈夫です。


三木:
ドラマCDの小説はどれぐらい大変でした?

伏見:
それほど大変ではありませんでしたが、ドラマCD全体で言えば本一冊分の手間はかかっていると自負しています。

三木:
アニメ化するコンセプトやきっかけみたいなものはありますか

岩上:
面白いと自分が思うことですね。「このキャラが動くの見たいな」って自分で思わないと。アニメを作るのも結構大変なことなので。「俺妹」にはその力がありましたね。

三木:
原作サイドからするとアニメのオススメポイントは原作イラスト担当のかんざきひろ(アニメーターとしての名前は織田広之)さんが加わって頂ける予定になっているので、ビジュアル的な融合度は高いのではないかと期待しています。

岩上:
イラストレーターとアニメーターの二足のわらじを履いている人の中でも、トップクラスでボンズ(アニメ制作プロダクション)では作画監督もつとめている方ですから、僕らも非常に期待しています。

伏見:
アニメ版のイラストをちょっと拝見したんですが、原作そっくりでした(笑)

三木:
織田さんのすごさは今放送している「HEROMAN」というアニメを見れば分かるかもしれません。

小原:
5話は織田さんが作画監督の回でした。

三木:
実はもうシリーズ構成の打ち合わせに入っていて、伏見さんにもガッツリ入って頂いているんですけど、毎回出るの辛くないですか?

伏見:
いやあ、面倒くさいですね。

三木:
おーい!ドラクエのせいでもうだるくなってるでしょ(笑)


伏見:
いやあ、脚本会議自体は大変楽しいんですけれど、必ずその後に文庫の打ち合わせが始まって帰るのが深夜になるんで……。

三木:
だって、週に1回会えるまたとないチャンスじゃない?ガッツリ打ち合わせしようよ。

岩上:
脚本会議は3~4時間やっているんですけど、脚本会議といえるのは実質1時間で。

三木:
それ以外は全部オタクトークじゃないですか、アレ。

岩上:
伏見さんじゃないけど、某作家のオタクトークが繰り広げられるという。

伏見:
脚本家の方が非常にオタクな人で、おそらくヒロインの桐乃よりもすごいので描写に関しては全く問題ないと思っています。

三木:
脚本の修正も少ないですよね。

岩上:
そうですね。1稿目から完成度高いですね。あとはかんざきさんはもうひとつの顔がありますからね。

三木:
あー、あの鼻からそうめん吹いた人ですよね。

伏見:
分からない人は、ニコニコ動画で「鼻そうめんP」と検索してみてください。

三木:
制作さんもロケハンとか行きまくってますからね。

伏見:
舞台のモデルになった場所がかなり正確に再現されるはずなので、アニメを見たら聖地巡礼とかに行ってください。

三木:
ちょっと待ってください。ここは徳島ですけど(舞台は)関東ですよね?

伏見:
そのぐらいは愛があれば。まあ飛行機で1時間ちょっとですから。

三木:
どこまでアニメになるかは分かりませんけど、原作で海外に舞台を移すところがあるじゃないですか。監督が必死に「ロケハン行こう、ロケハン行こう」と言ってましたよね。あれ絶対タダで旅行行きたいからですよね?

岩上:
もちろんそうでしょう(笑)。ほかは秋葉原とかでロケハンが近いですからね。


三木:
アニメで期待しているところや不安なところがあればどうぞ。

伏見:
とりあえず不安なところは一切ないです。岩上さんが全部何とかしてくれると信じています。

三木:
業界トークショーと同じこと言ってるじゃないですか。

伏見:
毎回聞かれたらそういう風に答えていますから。逆に期待しているところはヒロインのオタクっぷりがどこまで再現されるのか、というところですね。

三木:
「俺妹」は実名とか場所とかスト2の達人ウメハラとか、知らないと分からないネタが結構あると思うんです。前回のマチアソビのアンケートでドラゴンボールネタが分からないという人がいたので、年代とかもあると思うんですけど、オタクネタが分かるのかなというのは気になるところではあるんですよね。

伏見:
自分でも毎回気になっているんですけど、この間ファンレターで「桐乃たちが何を話しているか全く分からないところが面白い」という意見があって目から鱗が落ちました。次の巻も全然ついてこれないネタがあるかもしれませんが、そこはそういう楽しみ方をしてください(笑)

三木:
2009年の4月に出た3巻で、「Twitter」という言葉を書いているんですよ。それで「伏見さん、このTwitterって何ですか?分からないんで変えてくださいよ」って言ったんです。でも「代わりのネタも出すんで残しましょう」と伏見さんに言われてそのままにした結果が今の状況ですよ。(頭を下げて)すみませんでした。

伏見:
「俺の才能にひれ伏せ!」ってところですかね(笑)

小原:
立場逆転ですね。

三木:
原作についていろんな人からの意見を聞いているんですけど、「巻を増すにつれてひどくなっていってることがある」そうです。

伏見:
何なんですかそれは?

三木:
主人公・京介の変態っぷりだそうです。特に「あやせに対する淫乱な目つき」とのことで。その辺は大丈夫ですか?

伏見:
いや、全然アリですよ。だってドラマCDが一番ひどかったのに一番ウケましたから。

三木:
それは発売予定の6巻でも同じですか?

伏見:
そうですね。書いた記憶がありますよ。

三木:
京介は変態化、というかオタク化していってるということで?

伏見:
はい。桐乃の影響を受けて少しずつ染まっていっているという描写なので、決して唐突に変化したわけじゃない。

三木:
後付けみたいになってますけど大丈夫ですか?

伏見:
そんなことないですよ(笑)。


三木:
じゃ、それは置いといて、6巻の読みどころはどういう感じですか?

伏見:
6巻は4巻が好評だったことを受けて、短編が4つの構成になっているんですが、最後にちょっとした仕掛けを施してあります。

三木:
岩上さんには本が届いていると思うんですけど2話ひどくないですか?赤城が変なところに行くという。

伏見:
書くために取材に行ったという話を友達にするたびに、「頭おかしい」と言われるんですけど。そんなことないんだよという所を読んで感じて頂ければと思います。

三木:
みなさん分別のつく大人だと思うので、カルチャーだと思って読んでくださいね。決して何かをからかっているわけではないと声を大にして言いたいです。何かあっても「三木さんは徳島で言っていたよ。ちゃんとカルチャーをいう所にアプローチしていたよ」と言っといてくれると嬉しいです。

小原:
なんで言い訳をしているんですか(笑)

岩上:
3巻の取材の話もすごいと思いましたね。

伏見:
3巻では妹と一緒にラブホテルに行くというシーンがあるんですけど、そのシーンを書くためにクリスマスイブに渋谷へ1人で行ってきました。

三木:
クリスマスイブの渋谷ってすごく人が多いんですよ。あと基本的にリア充ばっかり。カップルか女性2人という組み合わせなんです。

伏見:
まるで私が渋谷にそぐわないみたいじゃないですか。

三木:
いやいや何言ってるんですか、そうじゃないんですけど取材として行くには過酷な地じゃないですか。トラマナなしで毒の沼地みたいな。

伏見:
で、まあ109のレストランで食事をしたり、ラブホ街をぐるっと周ったりライブハウスを見たりしました。

三木:
109はキツイですね。入った瞬間、匂いに酔うんですよ。作中でも書かれていて「これ実体験じゃん」って思いました。お前らは来るんじゃないぞってオーラが出ているんですよ。

伏見:
そんなことを言ったら、私がルサンチマンを感じたみたいなことになるじゃないですか(笑)

三木:
あと、キラキラしたゴージャスな店員さんに「妹にプレゼントするから」と実際に言ってアクセサリを選んでもらったんですよね。伏見さんには妹はいないから、架空の妹となりますけど結局購入したんですか?

伏見:
実物やカタログで紹介していただいて、解説を聞いてから何も買わずに帰りました。

三木:
伏見つかさ真面目伝説というのがあって、話をすると次の日に絶対取材してくるんですよ。マンガだったら全部読んできたりしますし、舞台もシーンに合わせて行くんです。

会場で「俺妹」グッズを広げる4人。


2種類のスポーツタオル。


コスパからメルルのシャツも出ます。


トークショーに来ていたお客さんやTwitterからの質問にも答えていました。


質問:
スピンオフを書いたりしないんですか?

三木:
「星くず☆うぃっちメルル」とか「maschera~堕天した獣の慟哭~」とか作中作があるんですよね。

伏見:
実はもう書きました。大まかな設定を含めてトレカに収録されます。なのでスピンオフを見たい方はトレカを集めてください(笑)

2010年5月27日から発売予定の「らのべ×トレカ」。複数のイラストレーターによるビジュアルと新作ストーリーが楽しめるというもので、公式サイトではサンプルが見られます


三木:
アニメでもスピンオフ作品が映像になったりはするんですか?

岩上:
なり…ます。

三木:
今、自分の中で決めましたね。

岩上:
伏見先生に言われたからには、という感じで。魅力があるんでガチでやりたいと思います。

質問:
先生にとって妹とは何ですか?

伏見:
ファンタジーです。私には妹がいなくて想像で書いているので、現実ではなくファンタジーだと思って書いています。

岩上:
僕は実は3つ下の妹がいるんですけど、結構リアルなんですよ距離感とか。分かる部分があるんです。

三木:
本を読んで「(自分にも)このシーンあったな」というところがあるぐらいですか?

岩上:
この作品の場合いろいろと誤解を招くシーンが多いと思うんですけど。

三木:
一緒にホテルに入ったりとか。

岩上:
そうそう。まあそんなことはもちろんないんですけど、「分かるなぁ」と思う部分はあるんですよね。

質問:
黒猫に妹はいますか?原作ではあまり家庭環境が明かされていませんけど。

伏見:
黒猫の妹はアニメに出ます。当然原作にも妹がいるという裏設定があります。原作では京介の視点から描く制限がありますが、アニメではその制限が緩くなるので出るのは確定だと思っています。

岩上:
電話のシーンでは相手の部屋とかも出てくるので、伏見さんには原作で描かれていない部分の質問がいろいろとあったと思いますけど、それによって設定が固まっていった部分もあります。

ボードウォークの南海ブックスブースで飾られていた「俺妹」アイテム。


質問:
先生なら桐乃と黒猫のどちらを選びますか。ちなみに僕は断然あやせです。

三木:
面白いなこの子。

伏見:
二択で聞いておいて、全然別のキャラを答えるという(笑)。じゃあ私は沙織がいいですね。

三木:
えー本当ですか?でかくないですか。

伏見:
背は高いですけど、私はベヨネッタ大好きですし。

質問:
桐乃と京介の父親が厳しいですけど、自分の親とかモデルになった人はいますか?

伏見:
実在の人物ではいないんですけど、「コードギアス」の皇帝シャルル・ジ・ブリタニア とかを思い浮かべながら書きました。

三木:
伏見さんは元ネタからすごく飛ぶよね。

伏見:
でも私の言わんとしていることは、みんな分かって頂けたんじゃないかと。

質問:
ドラマCDであった桐乃の名前の発音についてどう思われますか?

伏見:
私は最初に発音を決めるときはどっちでもいいいやと思っていたんですけど、どうでしょう。

三木:
一番イントネーションがいいのをその場で決めただけで何の意図もないので、皆さんのご意見があれば考慮するかもしれないですね。検討します。

伏見:
今、岩上さんに伝わりましたので。

アニメ化が発表されたところですが、映画化についても話されていました。

YouTube - 「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の伏見つかさトークショー


質問:
デュラララ!!」のように電撃文庫とのコラボはありますか?

三木:
今のところやってもいいという感じでしたっけ?

伏見:
私は電撃文庫の作家さんで仲のいい人が少ないので。どうでしょうね。

三木:
作風的にはやってもいいですよね。

伏見:
そうですね。先方の許可が取れれば。

岩上:
秋葉原の街とか出てきますからいろいろとイベントができそうな感じはしますけどね。

三木:
ちなみに何とコラボすればいいですか。何かタイトルはありますか?

質問者:
「デュラララ!!」。

三木:
じゃ、成田さんの許可をまず取りますので。ありがとうございます。

マチアソビ開催中に書かれたサイン色紙。


伏見:
皆さんからの反響を一番楽しみにしていますので、結果が出ていくのは本当に嬉しいことです。これからもどうかよろしくお願いします。

三木:
アニメ公式サイトとは別に原作の公式サイトもやっていて、アニメに負けないように面白企画をいろいろ考えようと思っているのでネットの方もチェックしてみてください。

岩上:
良いアニメにするために頑張っていますので応援よろしくお願いいたします。

三木:
色んな事情があって決まっているんだけど言えないことがあるんですけど、それは何かしらの仕掛けをして皆さんを楽しませながら公開したいと思いますので、冷やかしでもいいので情報をキャッチして頂けると一緒に楽しめるかな、と思います。

小原:
今年もありがとうございました。

三木:
おーい、まだ3分の1ぐらいしか終わってないけど大丈夫ですか?マチアソビも今年まだあるらしいですよ。

小原:
じゃ、これからもよろしくお願いします。

伏見:
また来られたらいいですね。暑い中、ありがとうございました。

公式サイトの「スペシャル」カテゴリではイベントのトークや終了後の話なども公開。追加の質問に対する答えも聞けるようになっています。

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in 取材,   動画,   アニメ, Posted by darkhorse_log

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